久保建英がインドから日本帰国直後の空港で取材に応じた【写真:Getty Images】
インドでのU-17W杯を終えたU-17日本代表は19日、全員無事に帰国した。ベスト16で敗退となったが、優勝候補イングランドをPK戦まで追い詰めたことで、選手たちは悔しさとともに手応えを持ち帰ったようだ。
帰国してすぐ取材に応じた久保建英は、「(グループステージ第2戦の)フランス戦が終わった後に監督が『原点回帰』という言葉を言っていた。それで『自分たちのミスもあったし、俺にもミスがあった』と言っていて、自分たちの最初の頃を思い出そうということで、コンパクトに守ってカウンターという自分たちがやってきたことが間違いじゃないということが証明できてよかった」と、U-17W杯での戦いを総括した。
一方で「森山(佳郎)監督のサッカーで、世界で十分にやっていけるというのもわかった上での敗戦は正直悔しい」と率直な心境を述べる。17日の決勝トーナメント1回戦・イングランド戦に敗れた直後、悔しさのあまり言葉を絞り出すように話していた久保だが、その気持ちは2日経っても全く変わっていないようだ。
久保が「00ジャパン」と呼ばれた森山監督率いるチームに初めて招集されたのは、バルセロナから帰国してFC東京に加入した直後の2015年4月、U-15日本代表のインドネシア遠征だった。当時のことを「最初のインドネシア遠征と、その次のタイ遠征と東京キャンプの3つは、自分はベンチで、自分より上手い選手が11人以上代表にいて、それが本当に悔しかった」と振り返る。
そこで同年代の代表選手たちを超えることを目標にし、努力を重ねてきた。その結果U-17日本代表では中心選手となり、上の世代にあたるU-20日本代表としてW杯出場も経験した。久保は森山監督や同年代の仲間たちと戦ってきた「濃い時間」こそが財産だと考えている。
「(00ジャパンは)ピッチ上でも言いたいことを言い合って、私生活でも言いたいことを言い合って、本当にみんな仲が良くて、初招集の選手が来てもすぐに溶け込めるような雰囲気がありましたし、そういうところでは本当にチームメイトでありながら友達みたいな、本当にいい関係が築けたと思います」
これから選手たちはそれぞれの所属チームに戻り、より上の世代の代表招集を目指して再スタートを切る。今回W杯のメンバーに選ばれなかった選手の台頭も十分にありえるが、久保は「自分は新しいことが好きでありながら苦手でもあるので、理想としてはこの2年半やってきた仲間たちが、このまま5年後、10年後、また一緒のピッチで日本代表を背負って1人でも多くやれることが自分のチームとしても目標ですし、自分もそのために練習などの努力を怠らないつもりですし、そうなれば幸せです」と、共に戦った仲間でありライバルでもある面々との競争に意欲を見せた。
現状に甘んじず、より高いレベルを目指して貪欲に努力を重ねる。有言実行の選手になるため、久保建英はこれからも「チャレンジ」を続けていく。
(取材・文:舩木渉)
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