プレーオフ圏内が遠のいたパチューカ。ここから巻き返せるか
ゴール直後のトルーカの反撃をGKブランコの好セーブなどで防いだパチューカは、相手のミスパスを拾ったところから本田が左に展開し、ウレタビスカヤがDFの裏に入れたボールにビクトル・グスマンが飛び出し、鮮やかにゴールネットを揺らした。理想的な流れで逆転に成功したパチューカだったが、トルーカのロランド・クリスタンテ監督の選手交代が功を奏する。
75分、交代で入って間もないブラジル人FWマテウスが左で得たスローインから素早く中に入れると、同じく交代出場のフアン・デルガディージョが正確なサイドチェンジを右サイドに通す。
後方からオープンスペースを駆け上がってきた右SBのロドリゴ・サリナスは胸トラップから頭でボールをコントロールし、最後はスライディング気味のシュートでGKブランコの逆を突いてゴールネットを揺らした。
ささいなリスタートから一瞬の隙を与え、同点ゴールに結び付けられてしまったパチューカはアンカーのエルナンデスに代えてアルゼンチン人FWヘルマン・カノをウィングに投入。
両SBを高い位置に上げ、右インサイドハーフに移った本田がどんどん前線に絡む形で攻勢を強めるが、元チリ代表のベテランDFオスバルド・ゴンサレスを中心としたトルーカの粘り強い守備を三たびこじ開けるにはいたらず。終盤のチャンスにも本田の右足で放ったシュートがクロスバーを越えてしまった。
敵地で勝ち点1を獲得し、リギージャ(リーグ戦の上位8クラブが参加できるトーナメント制のプレーオフ)進出に大きく前進したトルーカに対し、パチューカは残り4試合を残して8位まで勝ち点5差とリギージャが遠のいてしまった。
ただその中で、先発フル出場を果たした本田は3つのポジションを担いながら2つのゴールで起点となるなど、着実にチームに馴染み、コンディションも向上していることを示した。日本代表の欧州遠征までカップ戦を含め4試合を残すが、さらに好調をアピールしていきたいところだ。
(文:河治良幸)
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