大一番に向け用意した守備面での3つの対策
上海上港のストロングポイントは、絶大なる存在感を放つブラジルトリオ。司令塔の現役代表オスカル、強豪・広州恒大で結果を残してきたFWエウケソン、そして元代表でフィジカルモンスターの異名をもつFWフッキ。彼らを封じることが、勝利への最も近い道になる。
アウェイでの第1戦では、開始15分にフッキが先制ゴールを決めている。日本でもプレーした経験をもつ31歳のポジションは右ウイング。必然的に槙野とマッチアップするケースが多くなる。
槙野を中心に映像を何度も分析したレッズの選手たちは、守備面で3つの対策を練って大一番に臨んでいた。まずはポジション変更を原則的に禁止したと、槙野が笑顔で説明してくれた。
「変にポジションチェンジをしないということは、みんなで話し合っていました。たとえば左サイドの僕と武藤(雄樹)選手のところでは、そのまま目の前の選手につく、ということを心がけていました。右サイドなら遠藤(航)選手と前のラファエル・シルバ選手の関係になりますね」
レッズのフォーメーションは「4‐1‐4‐1」。左サイドバックの前には、左MFの武藤雄樹が配されている。ブラジルトリオを中心に自由自在に攻めてくる相手に惑わされ、ポジションを大きく離れてしまえば、それだけ相手に攻め込まれるスペースを生じさせてしまう。
ボールホルダーに食らいつく守り方ではなく、あうんの呼吸でマークを受け渡しながらゾーン的に守る。そのうえで相手が自分のエリアに来たときには、前を向かせない、自分たちのゴールに近づけさせない、危険なエリアでファウルをしない――の3点を愚直に徹底し続けた。
最後尾から味方の守りを見守った守護神、元日本代表の西川周作は、失点する雰囲気はなかったとばかりにこう振り返る。
「フッキ選手を含めて、相手の選手全員に対してみんなが厳しくいけていた。だから、そんなに危ないシーンを作られることもなかった。確かにボールはもたれていましたけど、相手の怖さというものは、みんなが消してくれたんじゃないかと思います」