いよいよイングランド戦。目の当たりにした脅威の実力
いよいよこの日が来た。これまでのグループステージ3試合、どの試合を見てもイングランドは恐ろしいほどに強かった。そして今日、日本が激突する相手が、まさしくイングランドである。
U-17W杯は決勝トーナメントに突入し、グループステージを3位で突破してきたアメリカがついに下馬評通りの実力を見せつけてパラグアイを下すなど、優勝候補と言われる国々が本領を発揮し始めている。
ではイングランドはどうか。サブ組中心で臨んだ14日のグループステージ第3戦、日本と同じアジアから出場しているイラクを4-0と圧倒した。久保建英が「はっきり言ってそれに気付かないくらい(主力と)差がなかった」と語る通りの印象だった。
左サイドで強烈なアクセントになっていたジェイドン・サンチョが所属するボルシア・ドルトムントとの取り決めにより日本戦を前にドイツへ帰国したが、それでも際立って高い攻撃力が大きく低下することはないだろう。
グループステージ3試合で11ゴールを叩き出した実力は本物だ。久保は「サイドに強力な個がいて、トップ下の選手もチームに効率的な動きができて、FWの飛び出しが速い」と分析する。フィジカル能力の高い選手だけでなく、小柄でテクニックのある選手も備えているイングランドは、ボールを持てば驚くべきスピードと迫力で一気にゴールへ襲いかかる。
さらに「守備のどんどん奪ってから前にいくというのに助けられている」と久保が語る通り、イングランドのディフェンスは強固かつ大胆不敵。攻守の切り替えがユース年代の選手たちとは思えないほど速く、ボールを失った瞬間から相手に猛然とプレッシャーをかけ、体勢が整うまでに奪い返すことができる。
イラク戦では大差がついてもペースを落とさず、90分間絶え間なく、強烈な攻撃を繰り出し続けた。時間と状況を考えながら柔軟にゲームをコントロールするのではなく、上から押し潰すように相手に圧力をかけ続けて、半ば強引ともとれるほどの迫力で押し切る。伝統的なイングランド・フットボールのスタイルがピッチ上にあらわれていた。
守れば「とにかくゴールを割らせない」意識が強く、完璧なシュートすら許さない。屈強なDFたちは体を張ってゴールを守る意識が強く、多少無理な体勢でもタックルを厭わず、もはや体に染みついているのか懸命なシュートブロックと、その技術の高さが印象的だった。