インテルに浸透する戦い方のコンセプト
もっともインテルはその7分後に再リードに成功。そこから両監督は、実に細かいところで戦術的な駆け引きを図る。右サイドを起点とされていることを見抜いたスパレッティ監督は、疲れの見えたカンドレーバを下げてジョアン・カンセロを投入し、サイドチェンジの根元を断とうとする。
するとモンテッラ監督はマヌエル・ロカテッリを中盤に入れて、パスワークを介したサイドの切り替えに拍車を掛けようとする。結局ミランの戦術が封じられることはなく、今度はボリーニのアーリークロスから再度同点に成功した。
ただロカテッリ投入のために3バックのうち1人を削り、さらに全体も前がかってリスクを冒していたミランは、これがめいいっぱいの状態。これを看破したスパレッティ監督は、終盤にしてボルハ・バレロを下げてFWのエデルを投入する。
劣勢だった中盤から選手を一人取ることもリスクではあったが、ミランの後方にはスペースができていた。カウンターを繰り出すと相手はそれに対応できず、88分にはマティアス・ベシーノがドリブル突破で運んだボールを最終的にエデルがシュート。これが弾かれてCKとなり、次のプレーで決勝点のPKが宣告されることになったのだ。
さすがダービーの効果か、前節ローマに完敗を喫したミランも良い内容のサッカーを展開したのは事実だ。しかしここでも、やはり大量補強の後でチームを作り直していたツケを払わされることになった。
他方インテルは、序盤戦で培った組織力で勝利を奪った。スピードに乗ったカウンターも、少ない手数でゴールに迫るという攻撃のコンセプトが全体に浸透してのもの。ハットトリックを決めたマウロ・イカルディも頑張ってチームプレイをこなしており、現に2点目は彼が前線で自らボールを奪ったことが起点となったものだ。
【次ページ】長友はフル出場。正確なプレーで勝利に貢献