戦術的駆け引きによってなされた派手な点の取り合い
【インテル 3-2 ミラン セリエA第8節】
【得点者】
28分 1-0 イカルディ(インテル)
56分 1-1 スソ(ミラン)
63分 2-1 イカルディ(インテル)
81分 2-2 オウンゴール(ミラン)
90分 3-2 イカルディ(インテル)
前半でリードはインテル、後半に入ればミランが盛り返して同点に追いつき、突き放せばまたも追いつき、両チームともに勝利を目指した一戦は試合終了間際にPKで決着。近年は低調な内容の試合が続き、スター選手の減少もあって格も落ちたと囁かれたミラノダービーは、久々に手に汗握る熱戦となった。
「理想的なスコアはウノゼロ(1-0)」といわれるイタリアサッカーにあって、点の出入りが多いことは褒められたことではないのかもしれない。しかし派手な点の取り合いは、両監督やピッチの選手たちの細かい戦術的な駆け引きによってなされたものだったのである。
まず前半では、ここまでのチームの完成度が差となって現れていた。大量補強もうまくチームが機能せず、3-5-2のシステムを導入しても成績が伸びないミランに対し、ルチャーノ・スパレッティ新監督のもと夏の間にしっかりと練習を積んだインテルは、試合ごとに組織が成熟し成績も伸びた。リーグ戦では7試合で3失点という守備力をベースに、ミランの攻撃を受け止めてサイドでの速攻にはめた。
守備ブロックの構成は実に素早い。ミランがボールを保持するやいなや、最終ラインは高さを保ちながら整然と並んで後方のスペースを消し、MF陣もその前にラインを築く。近年のインテルの悪癖となっていた、守備における組織の間延びがないのだ。ミランの選手たちがスソやアンドレ・シウバにパスを入れれば、即座にMF陣が取り囲む。サイドを攻め立てるイバン・ペリシッチやアントニオ・カンドレーバも、献身的に守備をしていた。