山田の台頭で生まれる、名波ジュビロの幅
今回のゴールは大きな一歩であり、今後も印象的なパフォーマンスを見せていくことで自身の価値はさらに高まるはずだ。
試合後、名波監督は「途中交代の選手も含めてみんなが自分たちの想い描くものをやってくれたと思う。最後、4バックにもトライできたので充実した90分になった」とイレブンをたたえている。清水戦に並々ならぬ情熱を見せていた指揮官だが、的確な采配を見せた上に次節以降への布石も打った。誰よりもこの試合に懸けていた青年監督は、誰よりも冷静だった。
完勝とともに3ポイントを上乗せし、勝ち点は50の大台に到達。得失点差は+18である。複数のポジションをこなせる山田の台頭により、戦い方に幅も生まれるだろう。J1リーグもいよいよ大詰めを迎える中、スタメンで結果を出すという“宿題”も残っている。
「自分たちは今シーズン、まだ何も成し遂げていない。名波さんがいつも言っている通り常にチャレンジャーとして残りの試合を戦って、少しでも上の順位で終われれば」
その言葉は自身に向けられているようでもあった。ジュビロ磐田の山田大記が本領を発揮するのは、これからだ。
(取材・文:青木務)
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