初の右ウィングも持ち味生かせず。周囲からの信頼は高まる
チーム内で信頼を強めている様子の本田【写真:Getty Images】
しかし、相変わらずの堅守から鋭いカウンターを見せるモンテレイに対し、パチューカはなかなか明確なチャンスを作れない。迎えた68分にはGKを起点とした一気の中央突破から、ウルグアイ代表MFカルロス・サンチェスのパスに抜け出したパボンのアウトサイドパスをウルタードに合わせられ、ついに2-0となった。
こうなると首位を走るチームと開幕時より持ち直したものの13位のチームの差は歴然となり、守護神ペレスの好セーブで3点目を防ぐのが精一杯。86分には中盤の空中戦でモンテレイDFセサール・モンテスに上から押し倒されたハラが直後に左足で蹴りを入れる愚行を犯し、一発退場で反撃モードに水を射してしまった。後半アディショナルタイムのフリーキックも本田が決められずにパチューカは完敗。 “リギージャ(上位8チームが参加できるトーナメント方式のプレーオフ)”進出も遠のいてしまった。
10月の日本代表メンバーから外れた本田はクラブの欧州遠征に帯同してスペインのセルタ、オランダのPSVとのフレンドリーマッチに出場するなど、コンディションやチーム内での信頼は着実に高まっている様子だ。だからこそアロンソ監督もポジションを変えながらフル出場させたのだろうが、メキシコで現在最も好調な相手に対し、チームとして歯が立たなかった状況で本田も違いを見せることができなかった。
特に後半途中からの右ウィングではスムーズにボールを引き出せず、何度か起点にはなったものの、やはりパチューカのスタイルの中で右サイドは本田本人の希望に関係なく、メインにはなりにくいかもしれない。ただ、今回のようにメンバー交代によってポジションをシフトするケースは起こりうるため、サイドバックやボランチとの連係を確認する必要があるかもしれない。
地震の影響で延期になった試合も合わせて残り5試合で何とか“リギージャ”に滑り込みたいが、12月のクラブW杯も近づいてきているだけに、前線の組み合わせを含め、パチューカは今後の戦い方を見極めていく必要がある。
(文:河治良幸)
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