カタルーニャ独立問題の源流、FCバルセロナの政治的意味
10月1日、カタルーニャ自治州がスペイン中央政府の憲法違反の主張を跳ね除け、同州のスペインからの独立の是非を問う住民投票を強行実施した。それからスペインという国家は揺れに揺れている。
今回の投票では約228万人、約43%が票を投じ、90%が独立に賛成。カタルーニャ州政府のカルレス・プチデモン首相は10日の州議会で、独立宣言前に数週間の話し合いの場を設けるとしたが、マリアーノ・ラホイ首相率いる中央政府はプチデモン首相がその場で独立宣言とも受け取れるような発言もしたとして、それを撤回しなければ憲法155条に基づき同州の自治権を停止する考えを示唆。プチデモン氏はこれに「対話を求めて、155条で返してくる。理解した」との見解を示すなど、緊張の糸は張り続けたままだ。
カタルーニャ自治州は2014年11月にも独立の是非を問う住民投票を行っていたが、カンゼン発行の『フットボール批評』と提携するスペインのフットボールカルチャーマガジン『パネンカ』は、当時の同州首相アルトゥール・マス氏にインタビューを行っていた。奇しくも同インタビューは『フットボール批評』が初めて掲載した『パネンカ』の記事でもある。
このマス前首相のインタビューが行われたタイミングは、2015年9月27日に独立支持派が過半数に達すれば、18ヶ月以内に独立するとの公約で行われた州議会選挙、通称27?Sの直前である。
州議会選挙では独立支持派が勝利し、マス前首相は独立手続きの開始を宣言したが、独立を目指す政党間の対立から新政権を発足できない状態に陥ったことで、結局退陣を余儀なくされた。しかしプチデモン現首相による独立への動きは、マス前首相時代の流れを組んだものであり、両政権合わせてカタルーニャ自治州史上最大の「国家への挑戦」とみなされている。
この『パネンカ』によるマス前首相のインタビューは「国家への挑戦」の源流をたどることができるほか、バルセロナというクラブの政治的な意味も存分に語られている。『フットボールチャンネル』はその意義に鑑みて、『フットボール批評』issue08に掲載された同インタビュー記事を公開する。