VVVのキャプテン就任。日本人が地元のヒーローに
本田は、オランダ2部リーグという地味な舞台で、『フェンロのローカルヒーロー』になっていった。つまり逆に『アンチ』も存在したということである。2008年12月4日、MVVとのダービーマッチは今でも語り草の試合だ。
VVVが1-2のビハインドで迎えた後半アディショナルタイム2分、本田は強烈なボレーシュートで劇的な同点弾を決めた。ホームのサポーターが文字通り爆発したデ・クール(VVVのホームスタジアム)。その中でMVVへの思いを隠せないアナウンサーが「ブロンドのXXがゴールを決めちまった」と実況したのだ。その後、彼がデ・クールを出入り禁止になったのは言うまでもない。
2009年2月27日の対ドルトレヒト戦から、本田がキャプテンマークを巻くようになった。当初はファン・カウウェンの怪我による代行的な意味合いがあったが、同年3月20日のフォルトゥナ・シッタルト戦から正式にキャプテンとなった。
――監督は今後も本田選手がキャプテンと言っていたが
「それは俺も聞いた。フランク(ファン・カウウェン)には悪いけれど、僕にとっては海外でこの年齢で、キャプテンが出来るということは、滅多にない貴重な体験なんで、貪欲に続けたいなと思う。最後まで任せてもらえるのであれば、そんな誇らしいことはないと思う」
VVVがオランダ2部リーグ優勝を決めたのは2009年4月24日のハーレム戦だった。ベルデン会長は「圭佑は、ヨーロッパのチームでキャプテンマークを巻き、初めて優勝した日本人」と語った。それを聞いた本田は、こう語った。
「会長も『いずれ日本人も(本田の成し遂げたことに)気づくのではないか』ということを言っていましたけど、時間はかかるでしょうね。オランダ2部というのがどういうところかわからない人が、9割だと思うのでね、それは時間が必要だと思うし、それはしょうがないと自分では受け止めている。大事なのは今後自分がどういったプレーをしていくかだと思う。この経験をきっかけにして、自分のプレーというものをもっと、もっと高みを目指して頑張っていけたらなと思います」