チームの良いリズムをもたらすために。求められる中盤からの影響力
しかし、武藤嘉紀が入り、原口が右サイドから左に回ったところからハリルホジッチ監督が求める縦のダイナミズムと香川や大迫の起点のプレーが噛み合うようになった。
それにより後半から左サイドバックに入った車屋紳太郎も高い位置にポジションを取るだけでなく、動きを出しながらボールを受けクロスに持ち込めるようになった。
そうした時間帯の流れからすれば、後半アディショナルタイムのゴールにも必然性があったが、香川がチームを救う働きをしたことは間違いない。
ただ、中盤からより影響力のあるプレーでチームの良いリズムをもたらし、持続させることができるかは香川が再び押しも押されぬ中心になるためのテーマになる。
さっそく試合後には大迫や武藤、酒井高らとディスカッションをしていた香川。その内容は「どうやって攻撃をしかけていくのかってところで、どうやってリズムを作っていくか、ゲームをコントロールしていくか」といったことだった。
なかなか自分のプレーだけで攻撃のリズムを良くすることはできない。大事なのは仲間とのイメージ共有。試合でいきなりやるのではなく、準備段階から積み重ね、試合の状況に応じて工夫していくべきものだ。監督の基本的な方向性や要求はあるが、ピッチに入れば選手が判断してプレーしていく必要がある。
香川はそうしたところで影響力を持つべき時期に来ているが、最終予選の終盤に出場できず、先発したニュージーランド戦も手探り感はいなめなかった。
その香川にとってチームを敗戦の危機から救うハイチ戦のゴールは今後に大きくつながる一撃だろう。次は指揮官が「世界の1位と2位」と評価するブラジルとベルギーとの対戦が待つが、まずはクラブでパフォーマンスを上げることが求められる。
(取材・文:河治良幸)
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