歯車が狂ったスペイン戦。完敗の一戦が他国へのヒントにも
それにしても、なぜ急にネガティブな空気になったのか? 戦力的には「史上最弱のアッズーリ」と揶揄されていたEURO2016の頃と比べて、タレントはそれなりに育っていたはず。リーグで好調を維持しているロレンツォ・インシーニェやチーロ・インモービレはスタメンに定着し、サイドバックや中盤にも若手が台頭してきている。
それをベースにチームも4-2-4のシステムにうまく転換を果たし、予選を通して危なげない戦いを続けていた。第6節までは5勝1分のペースを保ち、スペインと同じペースを保っていたのである。
しかしその歯車が狂ったのは、「第7節のスペイン戦だった。あれでチームから自信が失われた」と選手たちは口を揃えている。確かに0-3で敗れたサンティアゴ・ベルナベウでの試合と、その後の試合での苦戦には共通項があった。いずれも、中盤を分断され続けているということだ。
代表監督がヴェントゥーラになってからシステムが変わったというのは前述の通り。4-2-4はこのベテラン指揮官が得意とするもので、高く保った最終ラインからサイドアタッカーに素早く展開するというものだ。
インシーニェとカンドレーバの両翼もしっかり戻り、サイドの守備と繋がりを助ける。前線には、共に得点感覚に優れて裏抜けも上手いインモービレとベロッティが不動の2トップとなりつつあった。
しかしスペイン相手に、弱点は丸裸にされた。イスコをゼロトップに置き、これでもかと中盤の圧力を高めた彼らに対し、2枚のセントラルハーフはかわいそうなほどに数的不利を晒す。DFラインもズルズルと下げられ後方のビルドアップどころではなくなり、サイドも2トップも孤立した。
これは、スペインほどのタレントを揃えていない相手にとってもヒントになってしまった。しっかりと守備組織を固め、枚数の足りない中盤を囲んでスペースを消してしまえば、このチームは繋げないということがバレた。