長谷部不在で4-3-3が機能するのか
こうした困難を抱えていても、33歳のベテランがいなければ、ハリルジャパンの中盤は成り立たない。本田圭佑(パチューカ)不在の右サイドは久保裕也(ヘント)、浅野拓磨(シュツットガルト)、原口元気(ヘルタ)がしのぎを削り、岡崎慎司(レスター)不在の1トップも大迫勇也(ケルン)中心に人材的に少しずつ厚みを増してきたが、長谷部の穴は簡単には埋まらない。特に4-3-3をやろうとするなら、盤石な彼がいないと難しい。それが今の日本の現実だ。
このようにアンカーの人材が豊富でないのだから、「そこまで4-3-3に固執する必要があるのか」といった議論が起きてくる可能性も少なからずある。ハリルホジッチ監督は4-3-3、4-2-3-1、4-4-2と相手や戦況、時間帯によって戦い方を変え、メンバーも入れ替えられる幅広いチームを作りたいという理想を掲げているが、8ヶ月後の本大会までに残されたテストの場は5~6試合がせいぜい。時間的余裕は全くない。
長谷部以外のスーパーボランチが本大会までに出てきてくれればいいが、そこに期待するよりも、現実を見据えてベストな構成を模索する方が成功に近づける。
実際、2010年南アフリカワールドカップで指揮した岡田武史監督(FC今治代表)もアンカー・阿部勇樹(浦和)の前に長谷部、遠藤保仁(G大阪)を並べる3ボランチ気味のシステムで戦って16強入りを勝ち取っている。結果を出すためには割り切らないといけないこともある。
ハリルホジッチ監督は11月のブラジル・ベルギー2連戦を前にどんな策を講じるのだろうか。
(取材・文:元川悦子)
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