所属する浦和ではDFを務めている遠藤航
「(サウジ戦では)オーストラリア戦と同じサッカーをやろうとしたけど、もっと違う戦い方をすればよかった」と山口も反省しきりだった。もちろん周りとの関係や戦況によるところもあったが、自らリーダーシップを発揮して周りを動かすことを苦手とする彼の問題点が浮き彫りにされたのも事実だ。
遠藤を起用した今回は、守備組織が一段と機能せず、3失点を喫した。アンカー1枚に対し、相手インサイドハーフが2枚いたことで数的不利に陥ったのも痛かった。
「前から行くのか、ブロックを敷くのかがあまりハッキリできていないところがあった。僕らの2センターバック(昌子源=鹿島と槙野智章=浦和)に対して相手1トップ(ナゾン)が落ちている状況で、自分も前半はそこを見すぎた。もうちょっと高い位置で守備をしたかったけど、そこのケアを意識しすぎて前との距離が空いてしまった」と遠藤航は悔やむしかなかった。
1失点目につながったナゾンにかわされたスライディングタックル、3点目のミドルシュートに寄せきれなかった部分含め、日頃、浦和レッズで右サイドバックやセンターバックを主戦場としている感覚が出てしまったようにも見受けられた。
「どこまでサイドにスライドするのか、センターバックが出てきた時のポジショニングをどうするかといった難しさはやっぱりある、運動量的にもきついと感じた」と自身も本音を吐露する通り、ボランチでのプレーを積み上げられない現状はやはり厳しい。
香川は「航もホント100%出し切っていた。ただ、ワンボランチはあそこにいるだけじゃなくて、もっと前に距離をかけていかないと。彼にも絶対にできるはず」とかばったものの、修正を図っていく場が代表に限られているのは頭が痛い。
山口にしても、セレッソ大阪ではダブルボランチで起用されていて、「アンカーは慣れてないからやりづらさがある」と言うだけに、まだまだ不安が残る。そこは見逃せない点だ。
翻って大黒柱の長谷部を見ても、フランクフルトでは昨季からリベロに入るケースが圧倒的に多い。「このポジション(DF)に慣れないようにしないといけない」と本人も話したが、感覚的なズレは皆無ではないようだ。加えて、ヒザの状態がロシアまでに完璧に回復する保証もない。