繰り返し突かれた「アンカーの脇」
日本代表10月シリーズ2戦目だった10日のハイチ戦(横浜)は3-3のドロー。序盤の楽勝ムードから一転、想像だにしない結果に終わった。
キャプテンマークを巻いた長友佑都(インテル)が「堂々とやってる選手もいれば、オドオドしているというか、怖がってプレーしている選手もいた」と大挙して先発に名を連ねた新戦力に辛い評価をつけ、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督も「長年、監督をしてきてこんなによくない試合は初めて。相手がブラジルだったら10失点しているだろう」と酷評した通り、フレッシュなメンバーのテストは失敗に終わったと言っても過言ではないだろう。
とりわけ、気になったのが、中盤のバランスの悪さだ。香川真司(ドルトムント)をトップ下に据えて挑んだ6日のニュージーランド戦(豊田)でも、香川が3トップに吸収されてしまい、山口蛍(C大阪)と井手口陽介(G大阪)のダブルボランチとの間が分断される状態に陥ったが、逆三角形の中盤を採用した今回は攻守のバランスがさらに悪かった。
「ウチは最初、ワンボランチでやってたんで、航(遠藤=浦和)の脇がすごく空いていた。1失点目もワンボランチで一番やられてはいけないやり方だった」と最終ラインに陣取った昌子源(鹿島)が前半28分のハイチの1点目のシーンを振り返ったが、「アンカーの脇」という弱点を繰り返し突かれたのは確かだ。
今年3月の2018年ロシア最終予選・UAE戦(アルアイン)で、長谷部誠(フランクフルト)をアンカーに据え、香川と今野泰幸(G大阪)をインサイドハーフに並べた形で機動力の高いサッカーを実践して以来、指揮官は4-3-3に重きを置くようになった。
ロシア行きの切符が懸かった1ヶ月前のオーストラリアとの大一番(埼玉)も同システムを採用。長谷部、山口、井手口の3枚が高度なインテンシティーを見せつけ、相手を圧倒。ハリルホジッチ監督も「理想的な戦いができた」と満足感を口にした。
だが、右ひざ負傷が完全に癒えていない長谷部が離脱した後は思い通りの結果が出ていない。最終予選ラストのサウジアラビア戦(ジェッダ)は山口をアンカーに配置しながら0-1で敗れた。