攻撃オプションは見つからないまま
逆転された日本は原口が果敢なプレーで攻撃に喝を入れる。ようやく目が覚めたように攻め込み、最後に車屋のクロスを酒井高徳がシュート、ゴール前に倒れていた香川がコースを変えて何とか3-3に追いついた。
3点とれたとはいえ、最初の2点は相手が寝ているうちに決めたもの。むしろ攻撃すれば守備に穴が空く始末で、戦い方が堅守速攻しかないことがはっきりしただけだった。このままでは相手に先行されれば相当苦しい展開になる。作戦として引かれてボールを持たされることも十分考えられる。
11月のブラジル、ベルギーとの試合は今回とは狙いが異なる。この2チームはグループに最低1つは入ってくるいわゆるシード国だ。ボールを支配するのは相手になるので、堅守速攻の戦い方になる。その後の東アジア選手権は海外組の招集に強制力がないので、国内組中心になるだろう。
となると、当分は攻撃オプションを探るテストはできない。今回の2試合で収穫がほとんどなかったのは強化プランにおいて大きな誤算といえる。ただ、乾、小林、倉田はある程度持ち味は出せていた。芽はあるのでテストが全く無駄だったわけではないと思う。
(取材・文:西部謙司)
【了】