13年9月から決まらない直接FK。問題提起で新しい風も
もう1つ、彼に期待されるのがリスタートからゴールに直結する仕事。オランダ移籍後は直接FKを蹴ることも少なくなったが、Jリーグ時代は何度も自らの左足で得点を奪っていた。その技術の高さは折り紙つきだ。これまでの日本代表は名波、中田英寿、中村俊輔(磐田)、遠藤保仁(G大阪)、本田とそれぞれの時代にFKの名手を擁したが、ハリルホジッチ体制移行後はその強みが失われている。FKからの直接ゴールが2013年9月のグアテマラ戦(大阪・長居)から4年もない現状を踏まえると、指揮官の嘆きも理解できる。小林はこの問題解決のキーマンになり得る存在。それは本人も自覚している。
「(FKにつながる)ファウルもらえないのも、簡単に落とせって言われてるから。ボールをキープしてターンしたりとかってなればいいんだけど、監督が『来たボールは全部落とせ』って指示を出してるから、みんなそれをやってるだけ。もうちょっとファウルがほしかったら強引なターンっていうのもあっていい。そこらへんは選手一人ひとりが監督と話すべきだと思います」
彼は新たな問題提起をしたが、今の20代メンバーはハリルホジッチ監督の指示を聞きすぎる傾向が確かに強い。そこで自己判断力の高い小林が変化や工夫をつけるけん引役になってくれれば心強い。新たな日本の司令塔へ君臨するチャンスをつかむのか否か。ハイチ戦はやはりこの男の一挙手一投足に目を光らせるべきだ。
(取材・文:元川悦子)
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