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日本代表 7年前

香川真司の消化不良感。発揮しきれない実力。日本の10番が攻撃の中心として輝くために

text by 元川悦子 photo by Getty Images

「ワールドカップを見据えると、こういうレベルはたぶんないと思う」

 香川が輝けなかったのは、もちろん彼1人の責任とは言い切れない。前半15~20分頃からニュージーランドが日本のやり方に適応してくると、山口と井手口陽介(G大阪)の両ボランチが低い位置に下がり、前線4枚と後ろの6枚が分かれてしまう状態に陥った。こうなると中盤の連動性もコンビネーションも出しづらくなる。

「相手が慣れてきた中で行き詰った感じはした。(攻めと守りが)2つに分かれちゃっていましたね」と本人も認めていた。

 ただ、山口・井手口との距離が遠くなったという実感があったのなら、香川の方から声をかけてラインを押し上げさせるなり、自分からサポートに行くなり、何らかの改善策はあったはず。そういうリーダーシップを示しきれなかったのは、やはり悔やまれるところだ。

 攻撃のタクトを振るう人間として、相手の弱点を徹底的に突く方向に持っていけなかった点も物足りなさが残る。

「相手のプレスも強くなかったから、ゴール前まで簡単に行けちゃってた。特に左サイドの守備がルーズだったから、そこに展開するだけでクロスに行けちゃうくらいの試合だったから、そこからの起点でもっとやればよかった」と彼は試合運びの拙さを反省していた。

 左サイドの武藤嘉紀と長友佑都(インテル)のタテ関係は機能していたし、外は崩せていたのだから、確かにゴール前でもう一工夫がほしかったところ。実際、ドルトムントでは9月30日のアウグスブルク戦で芸術的なループ弾を決めていて、香川の創造性と高い技術には多くの人が度肝を抜かれた。それだけの傑出した能力があるにもかかわらず、代表チームに来るたびにその良さが影を潜めるため、見る側も消化不良感が拭えない。

「なかなか評価しづらいゲームでしたね。ワールドカップを決めた後ってこともありますし、みんなのモチベーション含めて少し難しさがあるのは当たり前で。とりあえず最低限勝ち切れたことはよかったけど、果たしてワールドカップって意味では正直、何の意味がある試合なのかっていうのは…。

 相手のインテンシティーもそんなに高くなかったですし、ワールドカップを見据えると、こういうレベルはたぶんないと思うんで…。ただ、やっぱりゴール前もそうですけど、攻撃の精度は確実に上げていかきゃいけないというのは思いますけど」と香川本人は世界トップよりレベルの下がる相手とどう向き合っていくべきか、考えがまとまらない部分があったことを明かした。

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