現状で得点に結びつくプレーを計算できるのは乾だけ
ニュージーランドのコンタクトプレーにも怯むことなく、日本はさほど問題なくボールを支配して運べている。ただ、相手のミスからチャンスもあったが決めきれず、意図的にペナ内ゴールエリア幅へラストパスが入るようになったのは乾の登場からだった。
決勝点も乾のファーサイドへのクロスボールを酒井宏樹が頭で折り返し、ゴール正面の至近距離から倉田が押し込んだもの。乾のプルバックから小林が放ったシュートはやや角度がなかったが、これも決定機に近いチャンスメークだった。得点がほしい状況で、乾が決定機を作れる切り札であることが確認できた。
ハリルホジッチ監督はしばらく乾を招集してこなかった。守備力とフィジカルコンタクトに不安を感じていたようだ。堅守速攻型でデュエルを重視する戦法では、サイドのプレーヤーには走力と守備力が要求される。
リーガ・エスパニョーラで守備力をつけた乾だが、守備優先の試合でも先発起用するかどうかはわからない。ただ、現状で得点に結びつくプレーを計算できるのは彼だけなので、3ポイントを狙う試合では一番手だろう。
ボールをある程度支配できる相手に対して、いかに決定機を作って点をとるか。次のハイチ戦でも引き続き問われるポイントである。
(文:西部謙司)
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