メカニズムを考えれば効果的な化学反応を生み出しうる
井手口は攻守のバランスを意識しながらも、チャンスと見た時の縦の推進力とオーストラリア戦でも見せたシュート力など攻撃でも非凡な能力を備えている。「守備はしっかり相手を潰しに行って、攻撃ではどんどん前にチャンスがあれば出て行って、アシストやったり点やったり、目に見える結果を残していきたい」と井手口は語る。
一方で「どれだけ攻撃においてチームを引っ張っていけるかという意味では、すごく楽しみなゲーム」と語る香川は基本的に縦に速い攻撃を志向する“ハリルジャパン”にギアの変換をもたらせる貴重な存在だ。
4年前の今ごろはゴールへの強い意識が空回りするプレーも見られたが、今は周りを生かすプレーを大事にしながら状況を観察し、機を見てフィニッシュに絡むスタンスに変わっている。
当たりの強さを生かしたボール奪取から積極的に攻撃に出ていく井手口と、高い位置から相手の守備を限定するプレーを得意とし、攻めては中盤の高い位置でタメを作れる香川。中盤のメカニズムを考えれば効果的なケミストリーを生み出しうる。あとは実際に組んでみてのフィーリングや距離感を両者の関係の中で高めていけるかが機能性のカギになる。
W杯を決めた試合では[4-3-3]のインサイドハーフに山口蛍と井手口を並べ、[3-4-2-1]のセントラルMFの自由を奪うことで起点を封じた。ただ、その並びはパスワークにあまり深みを出さないオーストラリアが相手だからはまった部分もあり、そこはハリルホジッチ監督のスカウティングの成果とも言える。
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