追い込まれて成長してきた川島。先輩・楢崎も太鼓判
とはいえ、そうやって崖っぷちに追い込まれれば追い込まれるほど、ここ一番の集中力や勝負強さ発揮するのが、川島永嗣という選手の強み。その人間力に敬意を評するのが、2010年南アフリカW杯直前に代表守護神の座を彼に明け渡すことになった楢崎正剛(名古屋)だ。
川島が代表合流した2日のトレーニングをふらりと視察に訪れ、同じく名古屋の後輩である吉田麻也(サウサンプトン)とともに記念写真を撮った41歳のGKは、改めてこんな話をしてくれた。
「永嗣は自分の状況をポジティブに変えられるパワーを持ってる選手。むしろそういう厳しい状況の方が逞しさを出せるんじゃないかな。欧州や代表でそういう経験をして、また一皮むけてるのかなと感じたし、ホントさすがですよね。俺の方がパワーをもらいました」と、佳境に突入したJ1昇格争いの中に身を置くベテランはしみみじと語っていた。
大先輩も言うように、川島は過去に何度も想像を絶するような苦しみを味わってきた。2014年ブラジルW杯からの3年間だけをみても、半年間の浪人生活を経て赴いたダンディー・ユナイテッドがスコットランド2部に降格。翌シーズンに参戦したメスでは第3GKからのスタートを強いられた。最終的に定位置を奪ってチームのフランス1部残留の原動力になったが、今季も若いトマ・ディディヨンを売りたいクラブ側の意向で開幕当初はサブに回された。
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