「1日で何かが変わるのは日常茶飯事」
9ヶ月後の2018年ロシアW杯本大会を視野に入れ、重要なテストマッチのひとつとなるのが、10月6日のニュージーランド戦(豊田)だ。
11月に南米5位とのプレーオフに挑むオセアニア王者ニュージーランド代表には、イングランド・プレミアリーグで活躍するクリス・ウッド(バーンリー)らタレントもいる。すでにロシアへの切符を手にしているとはいえ、日本が簡単に勝てる相手でないのは確かだ。
そのニュージーランドに対し、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はこれまで最終予選で出番の少なかった選手にチャンスを与える意向を示している。GKに関しても、最終予選終盤にゴールマウスを守った川島永嗣(メス)ではなく、東口順昭(G大阪)と中村航輔(柏)のいずれかを抜擢する可能性が高い。GKの選手層向上はチームにとって不可欠なテーマだ。
一方で、川島にとっては3月のUAE戦(アル・アイン)で奪回した代表正守護神の座を失うきっかけになる恐れもある。
そのリスクは本人も承知している。
「W杯で誰がピッチに立ってるのかなんて誰もわからないことだし、サッカーの世界において1日で何かが変わるというのはホントに日常茶飯事」と紆余曲折のキャリアを歩んできた川島も、自身にとって3度目のW杯への生き残りの厳しさを痛切に感じているようだ。
実際、今回の10月2連戦(ニュージーランド戦、ハイチ戦)では、長谷部誠(フランクフルト)、本田圭佑(パチューカ)、岡崎慎司(レスター)というベテラン3人の招集が見送られている。代表メンバー24人のうち、30代は長友佑都(インテル)、槙野智章(浦和)と川島だけ。
来年3月に35歳を迎える川島本人は「肉体的には『成長期』だとしか思ってないです」と冗談交じりに周囲の懸念を一蹴したが、少しでも衰えを感じさせれば、ハリルホジッチ監督から容赦なく切り捨てられるはず。生きるか死ぬかというギリギリの状況の中、ベテラン守護神はロシアを目指さなければならない。