「あの時はまだ24~25歳で、まだまだ未熟だった部分も沢山あった」(香川真司)
熾烈な争いを制したタフで逞しい選手でなければ、大舞台で堂々と戦い抜くことができないのは確か。今回の代表2連戦のようなチャンスを生かし、1つ1つの過程を大事にすることが、前回と同じ失敗を回避するカギと言っていい。
サッカースタイルにしても、8月31日のオーストラリア戦(埼玉)で実践したデュエルを前面に押し出す形を突き詰めるのに徹するのか、ボール支配時間も作って幅を広げることにトライするのか、判断が分かれるところ。香川は後者にも取り組んでいく必要性があると考えている様子だ。
「僕たちがボールを支配する中での課題が明確に出ている分、そこに対してどれだけトライできるか。(この10月2連戦では)そこを特に重視してやっていけたらと思ってます。(9月26日のUEFAチャンピオンズリーグでの)レアル(マドリー)戦でも、僕らが主導権握れると分かっていても一歩引いちゃったりとかがある世界だった。それはやらないと分からないこと。自分はそういう経験含めて代表に還元していきたい」と背番号10をつける男は言う。
実際、11月に対戦するブラジルやベルギーに一方的に回されてしまったら、失点してしまう可能性が高くなる。状況に応じた戦い方の変化という日本代表が最も苦手とする部分に挑んでいかなければ、ブラジル大会のリベンジは果たせない。その課題をクリアした時、日本はメンタル的な部分で一段階レベルアップできるのかもしれない。
「4年前の自分を振り返ってみると、あの時はまだ24~25歳で、まだまだ未熟だった部分も沢山あった。ブラジルでの経験を得たこともあって、今、自分自身のメンタル的なところがすごく安定していると感じる」と香川は神妙な面持ちで口にしていたが、チーム全体がどんな逆境に直面しても冷静さを維持し、的確なアクションを取れるようになれば、ロシア本大会でも期待できる集団になれるはず。
前回の屈辱を体験している両ベテランの意見も参考にしながら、ハリルホジッチ監督には今回の2連戦で「第3段階」の方向性を示してほしい。
(取材・文:元川悦子)
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