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武器が「インサイドキック」? デ・ブルイネの特殊性。守備の監視かいくぐった「1人時間差」【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

1人飛ばしのパスを1人で実現。デ・ブルイネの「1人時間差」

 48分、シティは左サイドからラインをスキップさせたパスワークでゴールへ迫る。左サイドでボールをキープしたデルフの前方にはスターリングがいた。しかし、デルフはスターリングにはパスせず、右斜め前へ走り込んできたシルバへボールをつける。

 チェルシーの監視と予測の下にあるデルフ→スターリングではなく、スターリングより前方のシルバへのパス。これでスターリングがチェルシーDFの視野から一瞬外れる。ペナルティーエリアの左角あたりでパスを受けたシルバがさらに前方へボールを流すと、そこにはデルフとシルバの中間にいたはずのスターリング、すでにポストの手前まで来ていた。

 スターリングのラストパスは防がれてCKになったが、シティが打開の鍵を手にしたことが明らかになったシーンだった。

 この試合の決勝点となったデ・ブルイネのゴールは、デ・ブルイネとジェズスの壁パスから生まれている。ラインをスキップさせたパスワークではない。ただ、デ・ブルイネは最初のパスを受けたときにワンタッチで前方のジェズスへ捌いていた。パスの方向を変化させるようなフリックに近いパスだ。

 デ・ブルイネのワンタッチパスは、自らをスキップさせたのと同じ効果を与えている。バレーボールの「1人時間差攻撃」と少し似ているかもしれない。

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