選手入れ替え、基本システムも変更。成熟度の差が露呈
ローマにはブレがなかったのである。今季からエウセビオ・ディ・フランチェスコ監督を迎えて4-3-3へシステムを切り替えているが、選手の大半は昨季から残留している。そして夏の間、練習を積んで新戦術を消化した彼らには、何をするべきかという共通理解ができていた。
加えてペレグリーニは、ディ・フランチェスコがサッスオーロから連れてきた選手(ローマの下部組織出身なので正確には古巣への復帰)。きちんと監督の意思を遂行できる彼らは守備ラインを我慢して整え、チャンスを突く準備があったということ。一方で多くの選手を入れ替え、さらにシーズンに入ってから基本システムも変えたミランには、そういう面での成熟がなかった。
そして先行を許したミランの3-5-2は粗をさらし、77分には最終ラインの連係も完全に崩れて追加点を喫した。左サイドに出て縦パスを受けたジェコに、ムザッキオとボヌッチが一遍に吊り出される。
その裏にはラジャ・ナインゴランが走り込み強烈なシュート。GKジャンルイジ・ドンナルンマはこれをセーブしきれず、こぼれ球をアレッサンドロ・フロレンツィに押し込まれた。
「今、これでモンテッラは厳しくなった(ガゼッタ・デッロ・スポルト電子版)」
試合後、地元メディアは早速モンテッラ監督の苦境を伝えている。大量の新戦力を短期間のうちにまとめる作業はどの監督にも簡単ではないはずで、同情の余地はある。機能するまでには時間も必要だろうが、強大補強で期待を膨れ上がらせた周囲は待ってはくれない。
代表ウイーク明けには、よりによってミラノダービー。その結果次第では監督の解任が叫ばれる恐れも出てきそうだが…。
(文:神尾光臣【イタリア】)
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