最大勢力となった“プラチナ世代”。存在感を示せるか
中盤の小林は香川、遠藤は長谷部誠(フランクフルト)不在のボランチ陣に挑戦状を突き付けることになる。小林はオランダへ渡ってチームプレーに徹することができるようになり、課題だった守備面も大きな改善が見受けられる。
遠藤は最近のJリーグでDFに入っているため、ボランチとしての戦術眼を磨けないのがマイナス面ではあるが、統率力や発信力は今のボランチ陣の中でも長けている。そういう長所を前面に出して、生き残りを賭けるしかない。
ハリルホジッチ監督のメンバー固定が最も顕著な最終ラインにも、昌子と車屋が挑むことになる。昌子は前述の通り、完全にレギュラーをつかんだという自覚はない様子。「槙野(智章=浦和)君や弦太(三浦=G大阪)もおるし、森重君もケガが治ったら戻ってくる。絶対に負けたくない」と負けじ魂をむき出しにしている。
アジア勢以外のゲームは2016年6月のブルガリア戦(豊田)の終盤6分間プレーしただけで、国際経験値は極めて少ないだけに、昌子自身もここから真価を問われることになる。本人は「世界トップレベルを肌で感じたい」と11月のブラジル戦(リール)出場を熱望しているが、それを果たすためにも今回2連戦でやれるという確証を指揮官に与えなければならない。ここは重要な関門になる。
初参戦の車屋は、長友佑都(インテル)との差は現状では大きいと言わざるを得ないが、左利きの特性を生かして果敢にアタックするしかない。高校、大学を経て、プロになって左サイドバックとして開花したという意味では長友と似たところがある。「いろんなことを話してみたい」と本人も熱望するだけに、先輩のいいところを盗むことから一歩が始まりそうだ。
この面々が日本代表をかき回してくれれば面白い。10月2連戦は最大勢力の92年組に大いに注目したい。
(取材・文:元川悦子)
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