「レアル戦は悔しかった。受け入れるしかなかった」
日本代表MFの心の中では、この一戦に向けて期するところがあった。
「僕個人としては、この前のレアル戦を踏まえて、自分自身の現状評価が分かる試合だった分、今日の試合っていうのは、大事でした」
4日前にホームで行われたチャンピオンズリーグ、レアル・マドリード戦。欧州最高峰の舞台、欧州最強との試合で、香川はベンチ入りしたが、最後まで出番は訪れなかった。大事な試合で必要とされない力。左肩の脱臼の影響で出遅れたとは言え、ごく乱暴に言ってしまえば、それがピーター・ボス監督の香川に対する「現状評価」だ。
「レアル戦を見たらね、誰もが今の現状を分かるというか。なので自分としてはすごく悔しかったですし、逆にそういう現状だと分かった分、それを受け入れるしかなかったので、それを踏まえての今日の試合でしたけど、だから、やるしかなかったですし、見せるしかなかったです」
レアル戦で出場機会が無かったことによる、葛藤とフラストレーション。
「あの舞台で、あの相手に試合をやりたかった。その感情はありましたけど、ただ、次に向かわなきゃいけないし、終わったことに対して、ああだこうだ言っていても何の意味もないと思っていた」
悔しさを糧に練習に打ち込み、気持ちを消化して迎えたアウクスブルク戦。香川は右インサイドハーフで先発出場する。開始早々から積極的にシュートを打つ。「攻守においてすごく強さを感じた」アウクスブルクを相手に、スペースを有効活用して、ボールを受け、展開し、攻撃のタクトを振るう。
そして23分に生まれたのが、あの「美しい」ループだった。
「監督がかわれば、選手がかわるのも当たり前なので、そういう意味では結果を残すことで、自分の存在をしっかりと伝えていかないといけないですし、それは層が厚い分、今後も求められると思っている」