新監督は韓国人に。アジアカップ出場目指す
試合前の記者会見でタイの指揮官は「勝てば我々が逆転でベスト4に進出できる。プレッシャーを感じているのは我々ではなく、首位に立つベトナムの方だ」と述べた。運命のタイ戦は、前半ほぼ互角の展開。しかし、ベトナムは前半終了間際にGKの判断ミスからペナルティマーク付近で間接フリーキックをとられて、タイに先制を許してしまう。
後半に入って気持ちを切り替えたいベトナムだったが、立ち上がりに再び守備の乱れから失点。その後は途中出場の選手が起点となってPKを獲得するも、グエン・コン・フオンがまさかの失敗。直後に速攻から3点目を決められて、0-3で完敗を喫した。この結果、ベトナムはタイとインドネシアに逆転されて首位から3位に転落。悪夢のグループステージ敗退となった。
期待が大きかった分、その後のバッシングも大きかった。ファンやメディアから戦犯扱いされたのは、PKを外したグエン・コン・フオンと失点のきっかけを作ったGKフィー・ミン・ロンだ。グエン・フー・タン監督は、試合後の記者会見で辞任を表明。さらに、ドゥック会長も「言ったことは守る」として、VFF副会長を辞任した。国民が夢を託した“コン・フオン世代”のSEA Games挑戦は、まさに最悪の形で幕を閉じた。
SEA Gamesは惨敗に終わったが、ベトナムA代表は、AFCアジアカップ予選の真っ最中にあり、代表チームの試合はこれからも続いていく。U-22代表メンバーにはA代表にも選出されている選手が多いが、いつまでも敗戦を引きずっているわけにはいかない。
VFFはSEA Games終了後、すぐに次期監督の選考作業に入った。国民からのプレッシャーを嫌って、ベトナム人は誰も代表監督になりたがらないため、新監督は外国人となる可能性が高いと見られていた。候補リストの中には、かつてベトナム代表を率いたエンリケ・カリスト氏、アルフレッド・リードル氏、三浦俊也氏や、前タイ代表監督キャティサック・セーナームアン氏などの名前が挙がっていたが、9月29日に韓国人のパク・ハンソ氏の新監督就任が発表された。同氏はU-23代表監督も兼任する。
HAGLのポゼッションサッカーで結果が残せなかったベトナム。ここ一番で勝負弱く、常に王者タイの後塵を拝し続けるベトナム。代表チームの再建は2002年の日韓W杯でフース・ヒディンク監督の右腕として韓国代表のベスト4入りに貢献した指揮官の手に委ねられた。
(取材・文:宇佐美淳)
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