U-20代表では香川、内田らとプレーした柳川雅樹
昨季のリーグベストDFに選出されたCBの柳川雅樹選手は、ヴィッセル神戸やヴァンフォーレ甲府に所属し、U-19、U-20日本代表では香川真司や内田篤人とチームメイトだった。
観戦した試合でも、バックラインから抜群に精度の高いロングパスを何度も繰り出し、守っては相手のシュートチャンスをナイスタックルで阻むなど、リーグベスト納得の仕事ぶりだったのだが、柳川選手はピッチ外でのパフォーマンスも超級だった。
フィリピンのサイトとは思えないほど(失礼)更新の早いJPヴォルテスの公式HPは柳川さんの手によるもの。クラブに取材の依頼をしたときも迅速な対応に感動していたら、返信してくれていたのは彼だった。
その他練習グラウンドの予約から、スケジュールの管理、試合ビデオの編集、さらには協会との連絡係もこなしているというからすごい。新しい選手が移籍してくると、宿や交通の手配までするという。マリキナ市とフランチャイズ契約をするときに、市長と折衝したのも彼だったというから驚いた。
すべては「フィリピンに、自分がイメージするプロクラブを作りたかった」という思いから。毎日の練習プログラムを組み立てるのも柳川選手の仕事だ。
日本でいろいろな監督についたことで培ったノウハウに加え、テレビで海外サッカーを見て「このクラブのこのシステムを採用してみようか」などと采配の参考にしたりもしているそうだ。
昨年夏に久々に再会したという、香川選手や内田選手の動向を見守っては刺激をもらっているという。
「何かあったら彼らの映像を見て、『負けちゃいけないな、簡単にはやめられないな』、と」
30歳の柳川選手はあと数年、現役選手として活躍してくれると思うが、その後どの道に進もうと、指導者や運営側の実務にまで広く携わったこの経験は間違いなく役に立つだろう。このような経験ができるのも、未開の小規模リーグの醍醐味だ。
「このチームやフィリピン人に何か残したい」
問題点が山積みの、産声を上げたばかりのフィリピンリーグで、柳川選手は日々奮闘している。