そして今宵もCR7。だが、増えているオプション
ロナウド集約型ではなく、それぞれの個性と可能性を伸ばしながら全員が応分の負担をする。ロナウド、ベイル、イスコを成立させるために3つの守備を用意したように、ルーカス・バスケスやアセンシオにも見せ場とタスクが与えられていた。
しかし、そうはいってもやはりレアルのエースはロナウドだ。
攻め合いになった後半に打ち勝てたのは、ロナウドの決定力があってこそ。ベイルのロークロスを左足のダイレクトで決めたシュートは簡単そうに見えるかもしれないが、スライディングでブロックに来るDFが届かない位置でボールをとらえている。左足は振り抜かずミートに集中、むしろ足を止めるような蹴り方だった。それでいて勢いのある抑えたシュート。そこへ持っていくステップワークの上手さも独特だ。
ゴール前に専念してからのロナウドは、パスをシュートに変える際のステップワークが目立つようになった。もともとドリブラーで、細かく素早いステップワークには天性のものがあったわけだが、現在はゴール前でそれが効いている。
レアルの3点目、ロナウドの2点目はモドリッチのパスで裏へ抜け出し、右足でニアポストとGKの間をぶち抜いた。問答無用の一撃。やはり右サイドで何の問題もなさそうだ。
ジダン監督下のレアルは対応力が上がっている。相手に対応するというより、起用する選手に合わせてオプションを増やしているうちに手数が増えたという印象だ。そして抜群の決定力。どういう相手、状況でも強いオールマイティ道を突き進む。
(文:西部謙司)
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