周到な守備組織を準備してきたオリンピアコス
オリンピアコスのタキス・レモニス監督は、かなり周到な組織守備を準備してきた。中盤にはアンカーを置き、ボールを保持していない時には両ウイングを下げて4-1-4-1の並びでブロックを作る。むやみに前線からプレスを掛けてボールを追うよりも、引いて後方のスペースを埋めることを優先する。ユーベがボールをキープした際は、迷うことなく10人が自陣へと下がった。
しかし、ただ引くだけではなかった。ユーベがビルドアップを図った際は、ボールホルダーの前に収縮させて壁を作る。右ではストゥラーロからクアドラードへのパスを、左ではアレックス・サンドロからドグラス・コスタへのパスを寸断。そしてピャニッチの代役として先発起用されたロドリゴ・ベンタンクールがボールを持った際には厳しく寄せに行き、ディバラが中盤に下がってボールを貰おうとした場合は取り囲んでスペースを消した。
このようにして厳しく守備の戦略を立ててきたオリンピアコスの前に、ユベントスはパスのスピードが上げられなかった。両翼に力量のあるドリブラーを抱えていても、パス出しが遅れ、スペースでボールがもらえなければ突破力は半減する。
ディバラは密集地に埋まり、しかもピャニッチがいない状態ではパスに変化を出すこともままならない。組み立てに困った挙句、パスミスを拾われて危険なカウンターに繋がることも数度。オリンピアコスの攻撃陣に精度が足りなかったことでなんとか難を逃れるといった有様だった。
前半終了間際から後半にかけては、サイドを使って左右に揺さぶりつつ、久々にCFとして起用されたマリオ・マンジュキッチを狙ったパワープレーで崩そうとする意図も見られた。ただ相手GKシルビオ・プロトの好セーブもあり、試合を動かすまでには至らない。
60分、アッレグリ監督は故障上がりのクアドラードをベンチに下げ、先発から外したイグアインを投入することになる。オリンピアコスよりも先に修正に入ったことが、彼らの苦境を表していた。