ようやく叶った直接対決。運命に引き寄せられた2人
ついにあの2人が同じピッチに立った。
24日に行われた明治安田生命J2リーグ第34節の後半38分、アビスパ福岡の城後寿がジウシーニョとの交代で送り出された。スタメン出場していたFC岐阜のシシーニョとの直接対決が実現したのである。
母国スペインで初めてJリーグを見たシシーニョにとって、日本への移籍を望むきっかけとなった選手が城後だった。いわば憧れだった存在と、初めてピッチの上で時間を共有した。試合後、元スペインU-21代表のマエストロは満面の笑みを浮かべ、「めっちゃ嬉しいです」と流暢な日本語で語った。
岐阜と福岡の今季初対戦は前半戦最後の試合、7月1日の第21節だった。その時はシシーニョが交代でベンチへ退いた後に城後が投入されたため、同じピッチに立つことは叶わなかった。後半戦の第34節が、2人にとって一緒にプレーする今季最後のチャンスだったのである。
アディショナルタイムを含めた約12分間はあまりにも短すぎた。しかし、2人はピッチの上で引き寄せられるように近づいていく。城後は交代出場した直後、右サイドMFのポジションに入った。シシーニョは中盤の中央にいたため、なかなかマッチアップの機会は訪れない。
それでも運命のいたずらか、別の選手交代がシシーニョと城後を近づける。後半アディショナルタイムに入った直後、福岡は最後の交代カードを切って中村北斗を投入する。それに伴うポジション変更で中村が右サイドに、城後はベンチへ退いた仲川輝人のいた最前線中央の位置に移った。
シシーニョと城後はそれから何度もピッチの上ですれ違う。互いに体をぶつけてボールを奪い合う場面もあった。2人とも短い時間でも待ち望んだ機会を心の底から楽しんでいたように見えた。
城後は言う。
「試合前から同じピッチに立てたらなとは思っていたんですけど、そこまで余裕がない状況だったので。あまり意識していなかったけど、ボールを持ったら自分の近くにいたので、ちょっと奪ってやろうかなって思いました」