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レアル、ドルト相手に生かした中盤の優位性。左サイドで最高の姿引き出されるベイル【E・オルテゴの戦術眼】

シリーズ:E・オルテゴの戦術眼 text by エンリケ・オルテゴ photo by Getty Images

人数、ポジショニング的に優位に立った中盤、理解し合うクリスティアーノとベイル

マドリーはベイルとロナウドが中央から左でプレー。右前方のスペースをモドリッチ、カルバハルが利用した。
マドリーはベイルとロナウドが中央から左でプレー。右前方のスペースをモドリッチ、カルバハルが利用した。

 試合開始から1時間は、マドリーが中盤における人数とポジショニングでの優位性を生かした。マドリーの中盤が4人であったのに対して、ボルシアが3人。マドリーはその状況を活用したわけだが、そこにはカルバハルのオーバーラップの効果も付随している。前半の彼は自チームが空けていた右サイドのスペースを使い、5人目の中盤の選手、もっと言えばほぼウィングとしてのプレーを見せていた。

 ボルシアのオランダ人指揮官はヴァイグル、ダフードの投入によってそうした状況の修正を図り、システムを1-4-3-3から1-3-4-3に変更している。そのシステムは中盤を均衡させることに役立ったが、しかしセンターバックが3人となったために後方にさらなるスペースを空けることになった。

 ジダンの1-4-4-2は、クリスティアーノとベイルを攻撃の要としている。彼らの動きは完全に自由。各々が各瞬間に、望む場所で姿を現した。二人はコンスタントにポジションを変えていたが、その動きは中央から左、左から中央に終始。右サイドはカルバハル、またはモドリッチが到着するために空けられていた。

 ベイルは今一度、本来のプレーサイドである左に位置すれば、最高の自分を引き出せると示した。そしてクリスティアーノは、ただひたすらにシュートを打っていた。相手のペナルティーエリア内を、私的な中庭として。

(文:エンリケ・オルテゴ【スペイン/マルカ】、翻訳・構成:江間慎一郎)

【了】

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