破壊力のある突破。相手DFに与える脅威
明治安田生命J1リーグ第27節、ジュビロ磐田はホームで大宮アルディージャと対戦し、2-1で逃げ切った。3試合ぶりに勝ち点3を獲得し、6位をキープ。5位の横浜F・マリノスに2ポイント差と迫り、再び射程圏内に捉えた。
複数のマークをものともせず、水を得た魚のように守備網を“破壊”する。自身は無得点に終わったが、その積極果敢な姿勢は勝利を手繰り寄せる原動力となった。アダイウトンは、相手に大きなダメージを与えている。
ブラジル人アタッカーのここ最近のパフォーマンスには、中村俊輔さえも舌を巻く。
試合開始早々の5分にクロスを右足で合わせると、2点リードで迎えた43分にも持ち味を発揮する。ディフェンダーを背負った状態で浮き球を受けると、相手の逆を取るトラップからのターンで一気に加速。左サイドからそのままゴール前へ突進し、シュートを放った。62分には、右サイドで1対2の状況を作られるも構わず勝負を選択する。茨田陽生と大屋翼の間をすり抜けて中央へ持ち込み、追いすがる大屋にバランスを崩されながらも左足を振り抜いた。
いずれもゴールネットを揺らすには至っていない。しかし、敵陣でアクションを起こすアダウトンの存在は、相手にとって厄介なものだったに違いない。彼がボールを持ち決然と前へ進む時、必ずと言っていいほどフィニッシュに繋がった。
北海道コンサドーレ札幌戦、浦和レッズ戦と勝利を逃がした2試合でも自身のコンディションは悪くなかった。札幌ドームでの一戦ではPKを誘発する突破を見せ、台風18号の影響が心配されながら雨も降らなかったエコパスタジアムでのゲームも、終盤にやはり相手2人の間を突破し、決定的なラストパスを供給している。
そしてヤマハスタジアムでは、昨年一緒にJ1復帰を果たした好敵手を蹂躙した。
大宮の伊藤彰監督は試合後、「前半は受け身になったところがあり、ゼロで抑えたいというゲームプランだったが、中村俊輔選手のFKでやられてしまった」と振り返った。また「中村選手がトップ下から降りてゲームをコントロールして、そこに我々は行きたかったが、プレッシャーを外された」とも述べ、相手エースに仕事をさせてしまったことを悔やんだ。
一方、中村俊輔はアダイウトンに言及した。