前向きな言葉を信じて。完全復活を待つのみ
試合後、センターバックで出場していた今野泰幸から話を聞いた時に、ギリシャを崩し切れなかった要因を聞いた流れで出たのが齋藤の名前だった。先のコートジボワール戦でベンチだった今野はサブ組の状態をよく観察していたようだが、特に練習で好調だったのが齋藤だという。監督の決定というのは結果の理由がつく部分もあるが、ギリシャ戦の状況を考えれば最も齋藤を生かしやすい状況であったことは確かだ。
結局コロンビア戦でも出番はなく、未出場のままブラジルW杯を終えることとなった齋藤は「絶対の存在になって戻ってくる」と前を向いた。しかしながらハビエル・アギーレ前監督体制で招集されることはなく、昨年3月に負傷の小林悠(川崎フロンターレ)に代わる追加招集で1年9ヶ月ぶりに復帰した。「懐かしさや久しぶりな感じがした」と語りながらも新たなチャレンジとして意気込みを見せていたのが印象的だ。
その時も出場機会はなく、昨年10月、11月もメンバー入りしたものの、オマーンとの親善試合に出場したのみで、今年は一度も招集されていない。しかしながら本大会に向けたオプションとしては十分にチャンスがあったはず。このタイミングでの負傷離脱は横浜F・マリノスはもちろん、日本代表にとっても痛い。誰よりも本人が悔しいはずだが、自身の公式ツイッターでもロシア行きを諦めないことを宣言している。
ハリルホジッチ監督は東アジアE-1サッカー選手権を国内組の最終的な絞り込みの機会と捉えており、さらに欧州遠征、来年3月の代表ウィークで海外組も含めた23人のメンバーを固めていく方針と考えられる。ただ、齋藤の場合は指揮官やスタッフが知らない選手ではなく、特に本大会でジョーカーとなれる選手が見極められなければ、そこからの活躍次第では滑り込みのチャンスは出てくるかもしれない。
「ロシアのW杯もマリノスの優勝も、海外でのプレーも諦めずに追いたいと思います」(齋藤学の公式ツイッターより)
今はその前向きな言葉をリスペクトし、日本を代表するドリブラーの完全復活を待ちたい。
(取材・文:河治良幸)
【了】