大金を投じた甲斐があったSBの入れ替え
9月23日の6節クリスタルパレス戦(5-0)を終え、プレミアリーグ首位に立つマンチェスター・シティ。開幕から1引分けのみの無敗で、代表ウィーク明け後のリーグ戦3試合では計16得点0失点という勝ちっぷりからすれば、扇動的な大衆紙などが早々と「王者の証」と騒いでもおかしくはない。
シティ評が「優勝有力候補」の域に留められている理由には、得失点差で2位のジョゼ・モウリーニョ率いるマンチェスター・ユナイテッドの存在もさることながら、前回の反省もあるのだろう。昨季のシティは、今季の滑り出しを上回る開幕6連勝。新監督のペップ・グアルディオラが「いきなり国内外4冠か!?」と、言われた当人が呆れるほどの勢いで騒がれた。だが、結果は無冠だった。
しかし、今季のシティは昨季とは違う。グアルディオラ体制2年目の“攻撃マシン”は、明らかにスケールアップを遂げている。アーセナルからのアレクシス・サンチェス引き抜きに失敗したように、看板の攻撃陣に新たな大物が加わったわけではない。だが、大物獲得なみの予算を費やしたSB陣の入れ替えが既に功を奏しているのだ。
新たな左右のレギュラーは、バンジャマン・メンディとカイル・ウォーカー。守備に戻る走力も体力も充分な両SBは積極果敢に攻め上がる。しかも、グアルディオラ体制下のアップダウン部隊は、単にタッチライン沿いを走ってクロスを放り込むだけではない。
アタッキングサードでの連係にも絡む。必然的に対戦相手の守備陣はアウトサイドに意識や頭数を割かざるを得ず、ピッチの中央で、指揮官が好む「長くても6m前後」のパスをつないで敵を攻め崩しやすい状況が生まれる。
そのスペースで、CFのセルヒオ・アグエロや、チャンスメイカーのケビン・デ・ブライネとダビド・シルバといった顔ぶれが、持てる能力を遺憾なく発揮するというわけだ。