ACL敗退で監督交代。V字回復をもたらした「3つの要求」
2015シーズンのナビスコカップ(現YBCルヴァンカップ)を含めて、指揮を執った2年間で3つのタイトルを獲得。FIFAクラブW杯でも準優勝した実績があるだけに意外に思われたが、昨シーズンのセカンドステージから流れはよくなかったと鈴木常務取締役は言う。
「石井がどうのこうのというよりも、年末にいい成績が出たことで何となくぼんやりしたところがあったけど、やはりセカンドステージを負け越して終わった流れというものが僕のなかにあったので」
昨シーズンはファーストステージを制しながら、セカンドステージは6勝2分け9敗で11位に甘んじている。チャンピオンシップこそ制したものの、安定した力が求められる年間総合勝ち点では浦和レッズの「74」、川崎フロンターレの「72」に遠く及ばなかった。
1ステージ制に回帰する今シーズン。序盤戦の軌跡にフロントは昨シーズンの後半をダブらせ、危機感を募らせた。そして、ACL敗退というタイミングで指揮官交代を決断。ヘッドコーチから昇格させた大岩剛新監督へ、3つの要求をしたと鈴木常務取締役は明かす。
「選手を見る角度や評価の視点をちょっと変えることによって、選手起用もちょっと変わってくるのかなと。あとは選手に対してちゃんとジャッジすること。最後はフィジカルトレーニングのやり方を変えること。簡単に言えば、素走りみたいなメニューがちょっと増えたのかな」
大岩体制になってからは、それまでリザーブになることが多かった中村充孝、レアンドロの両MFが先発メンバーに名前を連ねるようになった。ガンバ戦では前半アディショナルタイムに中村がPKを獲得。FW金崎夢生のPKは東口に防がれたが、こぼれ球をレアンドロが押し込んで同点とした。
レアンドロは得点を二桁に乗せたが、そのうち9点は大岩体制になってからマークしている。若手では21歳のMF三竿健斗が急成長し、高卒ルーキーのFW安部裕葵(瀬戸内高)の非凡な攻撃的センスも対戦相手の脅威になりつつある。