刮目すべき、セティエンのチームに確信を与える力
前半に見せた攻撃の姿勢は後半になってから、ジダンが企てたすべての試みによって淡いものとなる。そして行われたのは、完全なる攻囲だ。混沌とした交代から4人、5人、6人、果てには7人が相手のペナルティーエリア内に陣取った。マドリーがどうしてそうプレーすることになったのか、説明は難しい。
ジダンの最初の意図はカゼミーロをセンターバックとすることにあった。が、その後プランを変更。ハーフウェーライン付近の最終ラインに残る義務を負ったのはカルバハル、ヴァラン、ラモスで、彼らの前にルーカス、カゼミーロ、クロース、前線には右からベイル、クリスティアーノ、マジョラル、アセンシオが並んだ。
だが、それでも、である。ベティスのGKアダンはさらなる奮闘を見せ、ブランコス(白たち、マドリーの愛称)は然るべき時間を迎える前から慌てふためいていた。サイドからのクロス、中央からのロングフィード、あまりの性急ぶり。すべては、不安の産物である。
キケ・セティエンは現在59歳と、ずいぶんと遅咲きながら名声をつかんだ。スペインのフットボールは彼が独自の刻印を有する人物と認めるに至っている。ボールを保持する、攻撃を仕掛ける、自陣より相手陣内のスペースを占める、守備より攻撃を好む、とどのつまり試合の主役になることを望むことにおいて、彼の率いるチームは手堅い賭けとなった。
もちろんそのほかのすべては、フットボールの普遍なる真の実行者である選手たち、彼らがどのような特徴を持っているか、彼らが戦術コンセプトをどう飲み込むかに懸かっている。
しかし、そこに交渉の余地は存在しない。不幸にも、セティエンが率いているのはマドリーでもバルサでもないのだ。されどもその意思は挫かれることなく、“彼の”ベティスを“彼の”ルーゴ、“彼の”ラス・パルマスに仕立てようと試みている。