すでに磐田に特別指定選手として登録。未来への期待
90分間足を止めることなく、攻守でボールを追い続けた中野誠也【写真:松岡健三郎】
筑波は逆転を狙い選手交代で打開を図る。中野も90分間ボールを追い続けたが、このまま流れを変えられず、逆に85分には再び清水に華麗なゴールを決められ試合終了。
簡単な言葉で言えば「決定力の差」がプロとアマの差として出てしまった。極端に言えば、大学の試合でシュートを外し続けても、次の試合には出られるし、チームを首になることはない。それを目の当たりにしたような試合となった。
Jリーグ発足以降、大学勢として初の8強入りを目指した筑波であったがかなわず。
「うまくいかないのがサッカー。この結果で大学サッカーにも、もっと注目してもらえればうれしいです」と試合後テレビインタビューに答えた中野。磐田で試合に出られるか、筑波の試合に出続けるかはわからないが、中野にとってはまた成長の糧になるに違いない試合結果となった。
現在は、筑波の選手のように、実力があっても高卒ですぐにプロにならず、大学を経由する選手が増えている。武藤嘉紀(FC東京U-18-慶應義塾大学―FC東京)や宇賀神友弥(浦和レッズユース-流通経済大学-浦和レッズ)などユースからトップ戻るケースもある。中野もその一人。ジュビロ磐田ユースから筑波大学へ進学して、しっかりと力をつけて磐田へ戻る。
DFの裏への抜け出しが得意な中野。磐田には中村俊輔という日本一のパサーがいる。他に日本に帰ってきた山田大記もいるし、中野の同じ年の川辺駿もいる。走ればそこにパスは来る。
今度は甘えも言い訳も利かないプロの世界。そこで結果を出せば、来年のワールドカップへ向けて秘密兵器が誕生するかもしれない。それくらい楽しみな逸材だ。
(写真・文:松岡健三郎)
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