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Jリーグ 7年前

磐田入り内定、筑波大FW中野誠也が見せた期待感。天皇杯で得たに違いない成長の糧【カメラマンの視点】

シリーズ:カメラマンの視点 text by 松岡健三郎 photo by Kenzaburo Matsuoka

先制許すも積極的な姿勢で反撃狙う筑波大学

 まだ時間があるため筑波はあせることなくプレーを続けた。それは経験豊かな選手だからこそだと感じた。特質すべき点はDFラインから相手の裏へのボール出しだ。

 多くは右サイドバックの小笠原佳祐とセンターバックの鈴木大誠から送られるが、ノールックで出したり、体の向きとは違う方向へ出したりと一工夫することで大宮の裏を突いていた。これは意外とJリーグの試合ではあまり見かけない。パスの精度を欠くし、受け手にも難しいタイミングになるからであろう。

 それでも筑波は積極的な姿勢で反撃を狙う。中野の得意な裏への抜け出しをここぞとばかりに狙い続ける。ボールを追って撮影するカメラマンにとっては、裏へ抜け出す選手をボールと一緒に追うのはなかなか難しい。

 DFと同じように「やられた!」という気持ちになることがある。しかしこの日の1枚。鈴木大誠からのノールックパスの縦パスに抜け出した中野がアウトサイドで巧みなトラップから左足ボレー。惜しくもオフサイドとなったが、その瞬間は逃さなかった。

鈴木大誠からのパスに抜け出すも惜しくもオフサイドとなった中野誠也の飛び出し
鈴木大誠からのパスに抜け出すも惜しくもオフサイドとなった中野誠也の飛び出し【写真:松岡健三郎】

 筑波は前半、やや攻め急ぎすぎた感があり、シュート1本と攻撃に物足りなさを残しつつ後半へ。後半は落ち着いてボールをつなぐ、右で作ってサイドチェンジ。左で作ってサイドチェンジとJ1のチーム相手に完成度の高いチーム力をいかんなく発揮する。

 中野は前半同様に前からボールを追い続ける。ビルドアップにも参加していて、運動量の多さも持ち味の一つだ。58分にはテクニシャンで川崎に特別指定選手として登録されている三笘とのワンツーから抜け出し、左足を振り抜くが、惜しくも外れる。

 このあたりから大宮の選手の運動量がガクっと落ち始める。90分はおろか、試合にすら出ていない選手たちがスタミナを維持するプロでも難しい。逆に走力でまさる筑波のギアがさらに上がる。

 すると中野が再び魅せる。72分に長谷川アーリアジャスールのバックパスを中央でカットした中野が、そのまま持ち込み右足でミドルシュート。GK塩田仁史が触ったボールがバーに当たり、ゴールラインの内側に落ちたかに見えたがノーゴールの判定。

 この試合、ゴール横には追加副審が置かれていたが、判定は変わらず。学生サッカーでは審判に猛抗議する場面が少ないため、ここでもあまりアピールせずに終わってしまった。

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