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筑波大学、天皇杯16強敗退も“ジャイキリ”連発で残した衝撃。青年たちが経た大冒険

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「そもそも快進撃とは思っていません」と語った指揮官

 1回戦でJ3のY.S.C.C.横浜、2回戦でJ1のベガルタ仙台、3回戦ではJ2のアビスパ福岡を撃破。天皇杯の醍醐味とも言える番狂わせを、3度も演じてきた筑波大学が一敗地にまみれた。

 Jリーグが発足した1992年以降では、初めてとなる大学勢のベスト8入りを逃した試合後の監督会見。水戸ホーリーホックで6試合に出場し、清水エスパルスとガンバ大阪でアシスタントコーチを務めた経験をもつ39歳の小井戸正亮監督は、「そもそも快進撃とは思っていません」と胸を張った。

「試合をご覧になった方がどのような感想をもつかはわかりませんけど、全員がやるべきことをやって、勝つべき試合を勝って来たと自分たちは思っている。なので、今日もよくやったというよりは、もっとできたんじゃないかという後悔というか、反省が私のなかにあります」

 Jリーグ勢との対戦で、まずはしっかりとした守備から入った。といっても、自陣に引いてブロックを形成して、カウンターに徹したわけではない。相手のストロングポイントを研究して、入念な対策を練る。Jリーグ勢との最大の差は、小井戸監督によれば「セットプレーの質になる」だという。

「今日も前半は、ロングスローやコーナーキックから何度もピンチを作られた。しかし、そこの部分ではやられないように準備はしてきました。ただ、相手がどんなメンバーで来るのかまったく見えなかったので、まず自分たちがやるべきことをやろうと。なので、特に戦術的な準備をしたつもりはありません」

 2014年の小井戸監督の就任とともに立ち上げられた、サッカー部員の有志で構成される「パフォーマンス局」の活動にも後押しされた。相手チームの特徴や自軍の選手たちの特徴の分析、さまざまなデータの数値化、あるいは食事面などのアドバイスがどれだけ勇気と活力を与えてくれたことか。

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