復帰後にこれまで以上の貢献ができる部分を考えておくべき
ボールを持った際の活躍を過度に強調する必要はない。中小チームがバルサと戦う時、ボールを持つのはやはり常にバルサの方だからだ。
コリセウムの観客に向けて柴崎が改めて力をアピールできたのは2回のボール奪取だった。そのうち1回は、リーガのどのスタジアムへ行っても最も称賛されるスペイン人選手の一人であるイニエスタに対してのものだった。
そういった守備のプレーに対し、「ウチのスター選手たちはこの世の存在なんだ」とサポーターは叫んでいるかのようだった。メッシがピッチ上を歩いている(彼にはそれでも価値がある)一方で、柴崎は必死に汗をかき、バルサのオーケストラが何本もの精密なパスを繋いで空けていく穴を全て塞ごうとしていた。
負傷してしまったのは残念だった。ホセ・ボルダラス監督が規律の取れた軍隊へと変貌させたチームの中で、柴崎はスペイン語を十分に理解できなくとも、サッカーという言語と監督の言葉を理解できている。
チームへの適応は驚くほどに速く順調だった。突然のブレーキを強いられることになったが、外側からチームを見つめ、復帰後にこれまで以上の貢献ができる部分を考えておくべきだろう。会長は離脱が1ヶ月半にわたるだろうとこぼしており、先週末の試合でコリセウムを埋めた観客たちは、次の試合を迎える前から早くも彼の不在を惜しんでいる。
このチームで過ごした短い時間で柴崎は、周囲のあらゆる疑念を打ち消すことができた。ガクはすでにヘタフェの一員であり、小さな体で戦士として戦っている。
優れた選手であることはすでに分かっていたが、土曜日のゴールは別物だった。歴史に残る傑作品だ。そこから全てが捻じ曲げられ、幸せな結末を迎えられなかったのは残念だが、小さなチームの厳しい生き様はやはりそういうものだ。
(取材・文:ホセ・アントニオ・デ・ラ・ロサ【ヘタフェ/アス】、翻訳:フットボールチャンネル編集部、協力:江間慎一郎)
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