名手2人が引退。穴を埋めるのは多彩な実力者たち
フィリップ・ラームとシャビ・アロンソの両選手が昨季限りで引退したバイエルン・ミュンヘン。カルロ・アンチェロッティ監督は、2人の偉大な名手が抜けた穴を埋め、チームを再構築し、国内外のタイトルを獲りにいかなくてはならない。
ペップ・グアルディオラ前監督の遺産を活用した昨季、新戦力の獲得は2名に留まったが、今季は4名と2倍に増えた。就任2季目となるアンチェロッティ。“脱ペップ”を図り、自分の色を出していくようだ。
まず今年1月に、ホッフェンハイムから二クラス・ジューレとセバスティアン・ルディを加入合意を発表した。2人は揃って6月にドイツ代表のコンフェデレーションズ杯優勝に貢献し、7月からバイエルンに合流している。
21歳のCBジューレは先行投資の意味合いもあったが、ジェローム・ボアテングとハビ・マルティネスが負傷で出遅れた序盤戦は、ベテランの穴を埋めるのに十分な活躍を披露。27歳で選手として完成されているルディも、ボランチで高いビルドアップ能力を発揮して開幕戦からチームに順応している。
続いて6月、リヨンからコランタン・トリソが加入した。22歳のフランス代表MFの獲得は、アンチェロッティの希望だったという。バイエルン史上最高額の4150万ユーロ(約53億円)で加入したMFは、早速ボランチでレギュラーを確保。展開力と運動量を持ち味に、X・アロンソとアルトゥーロ・ビダルを足して2で割ったようなプレーを披露中だ。
そして7月には、ハメス・ロドリゲスが2年間のレンタルで電撃移籍してきた。レアル・マドリーで出場機会を失っていたコロンビア代表の獲得も、アンチェロッティたっての願いだったようだ。2人は2014/15シーズンにエル・ブランコで共闘。再起をかけるハメスにとっても、今回の移籍はうってつけと言えるだろう。
プレシーズンのアウディカップでの負傷により出遅れたが、ブンデスリーガ第3節ホッフェンハイム戦でバイエルンでの公式戦デビューを果たした。まだまだ未知数だが、アンチェロッティ政権の行方は、この“愛弟子”の活躍次第なのかもしれない。
なお、ブレーメンから獲得したセルジュ・ニャブリは、そのままホッフェンハイムへレンタル移籍。リオ五輪得点王のポテンシャルに疑いはない。武者修業を経て、スケールアップして帰ってくるはずだ。
ブンデスでは開幕2連勝と好スタートを切ったバイエルンだが、ホッフェンハイム戦は0-2で落とし、早くも黒星がついている。スローインからの速攻で失点し、守備では集中を欠いた。また、トーマス・ミュラーやロベルト・レバンドフスキが、起用法やチームに対する批判を述べるなど、少しまとまりを欠いているところがある。
アンチェロッティにとっては、トリソやハメスといった“申し子”を既存メンバーと融合させ、どのようにチームを再統一するのかが、問われるシーズンになりそうだ。