スター軍団だった90年台後半。華麗なサッカーでファンを魅了
私が初めてオランダ代表の試合をスタジアムで観戦したのは1999年3月、アルゼンチンとの親善試合だった。クライファルトとベルカンプが2トップを組み、オーフェルマルスとゼンデンがサイドハーフを務めていた。
最終ラインにはコクー、フランク・デ・ブール、ライツィハ―に混じり、ケース・ファン・ウォンデレン(フェイエノールト)がいた。ファン・ウォンデレンは世界的には無名のセンターバックだったが、私は彼の洞察眼に秀でた守備とビルドアップが大好きだった。守護神はもちろんファン・デル・サールだった。
何より私を驚かせたのはダービッツとセードルフのドイスボランチ(ダブルボランチ)だった。この2人の攻守に渡る闘争力の高さに「“フレンドリーマッチ”とは本当に“フレンドリー”なのだろうか」と自問しながら興奮していた。
試合が終わって、大観衆とともにアムステルダム・アレーナ(現ヨハン・クライフ・アレーナ)を後にしながら、「オランダは、スーパースターたちによるサッカーのアンサンブルを身近に楽しめる環境なんだ」と夢心地に浸っていた。
そんなオランダも2002年のW杯予選で敗れてしまい、2004年のEURO予選でも、スコットランドとのプレーオフの1stレグを落とす危機を迎えた。そこで世論に押されるような形でディック・アドフォカート監督が2ndレグで抜擢したのがスナイデルだった。この時まだ19歳だった天才MFは1ゴール3アシストと大暴れ。チームの6-0の大勝に貢献し、オランダ代表の救世主となった。