戦略は正しかったが…前半に生じた決定的な誤算
前半に限れば、ユーベはそれほど悪い試合運びをしていたわけではなかった。むしろ、戦術的なアプローチはうまくいってさえもいた。
マッシミリアーノ・アッレグリ監督は、組織守備のやり方自体は大きく変えてはこなかった。表記上は3ボランチにディバラとドゥグラス・コスタの2シャドーを敷いてはいたが、守備にはドゥグラス・コスタは中盤へと引き4-4-1-1という形を取る。ウイングハーフを使いフラットに並べた中盤でゾーンを敷き、しっかり引いて守備を整えるというアプローチは昨季の試合と同様だった。
しかも、バルセロナの攻撃に対してもきちんと人を合わせることはできていた。ウスマン・デンベレが前線に張りネルソン・セメドがフォローに来る右サイドには、アレックス・サンドロとドゥグラス・コスタが縦に連動して対応する。
一方、ジョルディ・アルバのオーバーラップ主体となる左サイドには、マッティア・デ・シーリオがその動きを見る。そして先発起用されたロドリゴ・ベンタンクールはアンドレス・イニエスタを見て、積極的に中へと絞った。
中央ではスペースを収縮させ、メッシが前線から中盤に落ちてくる動きも消して警戒。最後にはミラレム・ピャニッチがボールを拾って攻守を切り替え、両サイドのスペースを逆に突いた。新戦力のブレーズ・マテュイディも、タフな守備のみならず素早い攻撃の切り替えという点でもチームに貢献を果たしていた。
バルサに6割がたボールを持たせる一方で、相手にシュートまでいかせず逆にカウンターでチャンスを作る。ユーベの前半のシュート数そのものも、また枠内シュートの数もバルサ上回っていたことは、彼らが正しい戦略のもとで試合を運んでいたことを証明している。
だが、決定的な誤算はその前半に生じた。まずは言わずもがな、攻撃陣が6つはあったシュートチャンスを決めきれなかったこと。そしてもう一つは、機能していた組織守備が45分に少しほころびを見せ、そこをメッシに突かれたということだ。