コウチーニョの残留が最大の“補強”? 守備の強化は進まず
今夏のリバプールは、バルセロナへの移籍が噂されたフィリッペ・コウチーニョの去就問題に揺れた。結局はクラブが放出を断固拒否したことで大黒柱の流出は避けられた。エース格の背番号10の残留が何よりの“補強”と言えるかもしれない。
移籍市場最終日には、アーセナルからアレックス・オックスレイド=チェンバレンを獲得した。豊富な運動量とパワーやスピードを兼ね備え、多様なポジションに対応できるウィンガーの加入は、前線からのハイプレスを信条とするチームに大きな戦力的アドバンテージをもたらすはずだ。
そして今夏の目玉はクラブ史上最高額の移籍金を費やしたモハメド・サラーの獲得である。サディオ・マネと組む両ウイングの圧倒的なスピードはどんな対戦相手にとっても脅威になるはず。プレミアリーグ第3節のアーセナル戦ではこの2人が躍動し、4-0で大勝した。マネは8月後半だけで3ゴール3アシストを記録し、プレミアリーグ月間MVPにも選出された。
しかし、リバプールの最大の泣き所であるセンターバックの補強は手つかずのままとなってしまった。第4節のマンチェスター・シティ戦は退場者を出したとはいえ、ディフェンスラインの脆さが露呈し0-5の大敗。ラグナル・クラバンとジョエル・マティプで組んだセンターバック2人の間に簡単にスルーパスを通される場面が目立ち、守備陣の補強が進まなかったのが悔やまれる。
ジョーダン・ヘンダーソンを中心としたインテンシティの高いサッカーが完成度を高めつつあり、クロップイズムが浸透してきているリバプールだが、このセンターバックの補強失敗が、今後のチームにどう影響がでるのか注目される。
今季はチャンピオンズリーグでの戦いにも挑む。常に強度の高いサッカーを展開するため消耗の激しいユルゲン・クロップ監督のスタイルが、プレミアリーグや国内カップ戦と並行してCLを戦う過密日程において、どこまで高い質を維持し続けられるかも重要になる。
チーム内にはコウチーニョをはじめ、ヘンダーソンやアダム・ララーナなど代えの利かない選手が数人いるため、周囲の選手たちが彼らの代役を務められるまで成長することも求められる。クロップ体制3シーズン目は希望に満ち溢れた1年となるか、最も厳しい1年になるか、両方の可能性を秘めている。