大型補強は監督への贈り物か、プレッシャーか…
新時代の幕開けを強く印象づける夏の移籍市場だった。ミランはこの夏、チームを総入れ替えするつもりなのではないかというほど大胆な動きを見せている。
昨季まで本田圭佑が所属したミランは、苦しいシーズンを戦い抜き、最終的にヨーロッパリーグ出場権を手にした。ここ数年、周囲には常にクラブ譲渡の話があったが、ようやく決着を迎え、中国資本がイタリアの名門を動かす形になっている。
ファンの信頼を得るためにも、今夏は激しく動いた。ヴィンチェンツォ・モンテッラ監督に2年目の指揮を任せることを決めたクラブは、アタランタ躍進の鍵を握ったMFフランク・ケシエや豊富な経験を持つMFルーカス・ビグリアを獲得。一方で、期待に十分応えられなかったFWカルロス・バッカを放出し、生え抜きのDFマッティア・デ・シリオにも見切りをつけた。
ミランは今夏、移籍市場に2億2800万ユーロ(約300億円)を投じた。昨年夏はわずか2550万ユーロ(約33億円)。この金額だけを見ても強いメッセージになっていることは間違いない。
クラブ首脳陣の話しぶりからも、ミランは今夏の補強に手応えを感じている。指揮官の要望どおりのターゲットを確保できたということだろう。イタリア代表DFレオナルド・ボヌッチの獲得は予定外だったと認めているが、モンテッラ監督からすればこれほどうれしいサプライズはない。新チームをつくる上で軸ができたのは大きいはずだ。
近年、ミランは「若手育成」というスローガンを盾にして出し渋りを続けていた。契約満了予定の選手を見つけては安く獲得することを繰り返している。もちろんそれは必要な節約だったが、結局クラブの地位を保つことはできなかった。中国資本の登場で「爆買い」が可能になったミランは、監督に即戦力をプレゼントした。次はモンテッラ監督が期待に応える番だ。