クロースを前に遠慮がちなジョレンテ
さて、もう一つの意義ある試み、ジョレンテ-クロースについて。理論的には二人のセントラルミッドフィルダーだが同じ高さには位置せず、それでいて縦だけでなく横のスペースも分け合っていた。前にいるクロースは10番のレーンで高い位置からプレッシングを仕掛け、またビルドアップを図るためにチームメートにその身を差し出した。
片やジョレンテはというと、クロースを見るやいなや彼にボールを譲っていた。それは疑いの余地などなく、最も簡単なパスの選択肢。ジョレンテはクロースの存在を前にして、遠慮がちな自分を示したのだった。
ZZ(ジネディーヌ・ジダン)がジョレンテを下げた後、交代で入ったイスコがトップ下に位置し、クロースは唯一のセントラルミッドフィルダーとなっている。
クリスティアーノ・ロナウドが不在、ベイルがベンチスタートとなったこの試合、アセンシオはベンゼマのそばでストライカーとしてプレーしている。利き足とは逆の右サイドへと寄っていったが、快適にプレーしているという印象はなかった。
レバンテ指揮官ムニスが張った蜘蛛の巣に引っかかり、ゴールに背を向けてボールを受け取り、前を向くためのスペースはほぼ存在せず。後ろに下がって、ビルドアップに参加していたときの方がやりやすさを感じていた。終盤、ルーカス・バスケスの代わりにコバチッチがピッチに立つと、アセンシオはさらに右サイドへと傾いていった。
アセンシオに加えて、負傷したベンゼマとの交代で投入されたベイルも、純粋なストライカーとしてのプレーに窮屈さを感じている。ゴールを背にしてボールを受けるのは、やはり彼のスタイルではない。スペースを突くプレーや空中戦でのみ、試合の舞台に上がっていた。
各ラインをしっかりと狭めるなど、良質な組織戦術を有するレバンテ。輝かしい時間帯もそうでない時間帯もあるが、プレーに臨む姿勢が揺らぐことない。後半はほとんど自陣から出なかったものの、マドリーが迎えたほぼすべてのシュートチャンスで、しっかりとゴールに鍵をかけていた。
(取材・文:エンリケ・オルテゴ【マルカ/マドリード】、翻訳:江間慎一郎【マドリード】)
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