【スペイン】ラ・リーガ
レアル・マドリー
レアル、急激な若返りで継続路線明確に。序盤低調なジダン采配…今季の鍵は「若手」にあり
昨季リーグ戦とチャンピオンズリーグの二冠を達成したレアル・マドリーは、その強さを維持したまま数年後を見据えた路線に舵を切った。ベンチに座ることの多かった選手たちを放出した一方、獲得した新戦力はいずれも将来を嘱望されるスペイン人有望株ばかり。ジネディーヌ・ジダン監督は彼らをスター選手たちと融合させ、勝てるチームを作っていけるのだろうか。
バルセロナ
バルサ、ネイマール退団で狂った歯車。新体制は順調な船出でも…フロントの迷走に非難轟々
バルセロナは今季からエルネスト・バルベルデ監督を招き、新たなスタートを切った。しかし、噛み合い始めていた歯車はネイマールのパリ・サンジェルマン移籍によって脆くも崩壊する。そこからのフロントの迷走はご存知の通り。フィリッペ・コウチーニョやアンヘル・ディ・マリアといった補強候補をことごとく獲り逃し、結局は20歳のウスマヌ・デンベレにクラブ史上最高額を投じることとなった。レアル・マドリーに追いつけ追い越せで始まったシーズン、新体制のバルサはいきなり出口の見えない迷路に入り込んでしまったようだ。
アトレティコ・マドリー
アトレティコ、補強禁止で辛い夏に。エース残留も…新陳代謝なく山積みの課題は先送り
FIFAに課された補強禁止処分の影響で新たな選手を登録できなかったアトレティコ・マドリー。新戦力と言える存在は実質的にゼロ。唯一契約をまとめたビトロは半年間ラス・パルマスに貸し出されることとなり、合流は1月の予定になっている。アントワーヌ・グリーズマンの残留とディエゴ・シメオネ監督の契約延長により戦力の大幅ダウンこそ避けられたものの、噂されていたジエゴ・コスタの復帰も現時点では実現しておらず、積み上がった課題は先送りになってしまっている。
【フランス】リーグ・アン
パリ・サンジェルマン
PSG、ネイマール&ムバッペ獲得で盤石の布陣。タイトル奪還へ問われる監督の手腕
ネイマールをバルセロナから2億2000万ユーロ(約290億円)の移籍金で引き抜き、モナコから期限付き移籍ながら18歳の怪物・キリアン・ムバッペを将来の完全買い取り前提で獲得したパリ・サンジェルマン。補強にどんな狙いがあり、どこを目指して戦っていくのだろうか。
【イングランド】プレミアリーグ
チェルシー
チェルシー、プレミア連覇へ弱点補強。問われる指揮官の人心掌握力と過密日程への対応
アントニオ・コンテ監督就任1年目の昨季、圧倒的な強さでプレミアリーグを制したチェルシー。連覇を目指す戦いは、夏の移籍市場からスタートしていた。チャンピオンズリーグと並行して戦わなければならない厳しいシーズンに向けて弱点にピンポイント補強を敢行。アルバロ・モラタを筆頭に確かな実力を備えた選手たちが加わった。
トッテナム
トッテナム、駆け込み補強で帳尻合わせ。選手層に不安…現状維持で過密日程に耐えられるか
プレミアリーグ開幕時点で新戦力はゼロ。まさかの補強なしで先行きが不安視されていたトッテナムだが、移籍市場最終盤に5人を獲得した。現状維持の戦力で悲願のリーグ制覇を狙う。厳しいグループに入ったCLでの戦いぶりにも注目が集まる。
マンチェスター・シティ
マンC、今季も大規模投資で戦力拡充。サイドバック補強が悲願達成の鍵になるか
この夏のマンチェスター・シティの補強における最大のポイントは3人のサイドバック獲得に他ならない。180億円以上の投資で実力者たちを招き入れ、いずれもすでに期待通りの活躍を披露している。ジョゼップ・グアルディオラ監督は2シーズン目を迎え、ようやく理想のチームが出来上がりつつある。無冠の1年を経て、今季こそ失敗は許されない。
リバプール
リバプール、コウチーニョ残留が最大の“補強”? 守備強化進まず選手層に不安
エースの移籍騒動に振り回された夏だった。リバプールはフィリッペ・コウチーニョのバルセロナ移籍を阻止し、なんとか大黒柱の慰留に成功した。攻撃陣には魅力あるアタッカーたちが加入した一方、最大の懸案事項だったセンターバックの補強は一切進まず。チャンピオンズリーグと並行した過密日程に挑まなければならないが、各ポジションに不安を抱えたままとなっている。ユルゲン・クロップ体制3シーズン目は進歩の1年になるか、それとも…。
アーセナル
アーセナル、不安しかないヴェンゲル体制22年目。チームは穴だらけ、補強も不十分
アーセン・ヴェンゲル体制は22年目に入った。昨季19年続いたCL出場権を逃したアーセナルは、今季こそ大型補強で巻き返しを図るかに思われた。しかし、蓋を開けてみれば純粋な新戦力は2人のみ。確かに大金をつぎ込んだが、補強ポイントを埋められたかには疑問が残る。解任論渦巻く指揮官は、その手腕で名将が名将たる理由を証明できるのだろうか。
マンチェスター・ユナイテッド
マンU、ピンポイント補強で大幅戦力アップ。モウリーニョ体制2年目は前途洋々
ジョゼ・モウリーニョ体制2年目を迎えたマンチェスター・ユナイテッドが、この夏に獲得した新戦力は3人のみ。だが、いずれも的確に弱点を補強し、チーム力は格段に向上した。ロメル・ルカクは圧巻のパフォーマンスで前線の柱として君臨し、ネマニャ・マティッチは自慢の守備力を遺憾なく発揮してポール・ポグバの躍動を引き出した。充実ぶりばかりが目につく“赤い悪魔”はプレミアリーグの覇権奪回に挑む。
【ドイツ】ブンデスリーガ
バイエルン・ミュンヘン
バイエルン、リーグ6連覇へ視界良好。名手2人が引退も…選手層は圧倒的
フィリップ・ラームとシャビ・アロンソとい偉大な2人が昨季限りで現役を引退し、バイエルン・ミュンヘンには大きな穴が空いてしまった。しかし、2シーズン目を迎えたカルロ・アンチェロッティ監督はそれぞれのポジションに実力者たちを補強し、チームのバランスを向上させながら独自色を出す路線に舵を切っている。質の高いローテーションが可能な選手層を誇り、リーグ6連覇に向けて視界は開けている。今季はその先にある5年ぶりのチャンピオンズリーグ制覇も狙う。
ボルシア・ドルトムント
ドルトムント、新体制は未知数の新戦力とともに。若手有望株の潜在能力を信じて
香川真司が在籍するボルシア・ドルトムントは、今季からペーター・ボス監督を招へいして新体制をスタートさせた。夏の移籍市場では将来有望な若手を中心に多くの選手を獲得。一方でウスマヌ・デンベレがバルセロナへ移籍した穴を埋めるために加入したのは、“ウクライナの王”アンドリー・ヤルモレンコだった。即戦力として計算できない若手たちの特大のポテンシャルをいかに伸ばしていくか、そこに香川らベテラン勢がいかに関わっていくかが今季の鍵になるかもしれない。
【イタリア】セリエA
ユベントス
ユベントス、国内7連覇へ死角なし。ボヌッチ放出の影響最小限も…欧州では「挑戦者」か
ユベントスにとって、レオナルド・ボヌッチ退団の影響は小さかったと言えるのだろうか。セリエAで絶対王者に君臨する名門は、守備の要を失った。それでも新たに獲得した選手たちは年齢やポジションこそバラバラだが、実力派が揃っている。強力な前線のメンバーは健在で、国内リーグ7連覇へ隙のない陣容が完成した。
ミラン
ミランに新時代の訪れ。ゼロからのチームづくり託された監督の大きなミッション
中国資本の経営参画によって多額の資金を手にしたミランは、この夏の移籍市場にこれでもかと大金を投入した。その結果チームは一新され、昨季まで主力を務めていた選手たちは軒並みベンチに追いやられるか、退団していった。大型補強はヴィンチェンツォ・モンテッラ監督にとって贈り物となるか、あるいは重圧になってしまうのだろうか。
インテル
インテル、復権に向けた最初の一手。名将招へい&堅実補強でスタイルを明確化
同じ街のライバル・ミランと同様に復権を目指すインテルだが、この夏の補強は堅実だった。名将ルチアーノ・スパレッティ監督を招へいし、新たな指揮官が目指すチームを作るために必要な人材を獲得したからである。新戦力はいずれも、かつてサン・シーロで躍動したスーパースターとは違い、名より実力がフォーカスされるタイプの選手たち。今季はインテルにとって栄光を取り戻すための重要な一歩目になる。