待ち受ける過酷なプレーオフ。進歩なければ最悪の展開も
ご存知のように、その日の深夜にサウジアラビアが日本を1−0で破り自力での通過を決めた。その結果、豪州はA組3位のシリアとのプレーオフ(10月5日・10日)に回ることが決まった。ホーム&アウェイでのプレーオフに勝ち上がると、その次には北中米・カリブ海地域で4位になったチームとの大陸間プレーオフ(11月6日・14日)が待つ。
勝ち点をもう1ポイントでも積めていれば、過酷なプレーオフ4試合を戦わなくてよかったことを思うと、今さらながら、実に4試合を数えた引き分けのひとつでも勝っていればなどと思ってしまうが、そればかりはもうどうにもならない。
日豪戦での無策。タイ戦での消化不良。負けは少なくとも引き分け4回と勝ちきれない試合が目立った戦いぶり。そういった様々な要素が相まって、ポスタコグルー監督の求心力は下降線を描く。このところは、表立っての解任要求なども囁かれるようになってきた。
しかし、監督はそんな外野の声は気にせず、シリアとのプレーオフまでの1ヶ月間、じっくりと最終予選の戦いぶりを振り返り、相手国のスカウティングなどを含めて出来得る限りの準備で万全を尽くしてもらいたい。4年に及んだ「ポスタコグルー革命」は、やはりハッピーエンドの大団円であって欲しい。そのためには、あと4試合のプレーオフのいずれの試合もが、ポスタコグルー体制の集大成をぶつけるような意味のある試合でなければならない。
10月のシリアとのプレーオフで何も進歩が見られなければ、劇薬を処方しなければいけない状況もあり得る。しかし、今こそアジアカップ大会中に掲げられた「In Ange, We trust」の横断幕を再び高々と掲げる時だ。ポスタコグルー監督を信じ、強い豪州が再びアジアのサッカー群像の中で存在感を発揮できるようになることを望んでいる。
(取材・文:植松久隆)
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